レビュー
クラシック音楽の中でも弦楽四重奏の世界というのは、別格であると聞く。 交響曲を書かなかったドビュッシーやラヴェル、バルトークなどや、オペラ専門作曲家のヴェルディやプッチーニなども弦楽四重奏だけは書いている。重要かつ独特なジャンルなのであろう。 また、演奏する方としては、それぞれの楽器についてのスペシャリストや、ヴィルトォーゾ・ソリストたちが拙速的に集まって、はいやりましょうといっても、おいそれとは評価できる演奏にはならないそうで、やはりそれ専門に志を立てたグループで、しかも時間をかけて合わせないとモノにならないものらしい。 そう考えると、本作で描かれたような、男だ女だとか、第一と第二ヴァイオリンでの諍いで、もはや「ドロドロ」の状態では、とてもまともな演奏などできないと思う。実在のイタリアSQのエピソードや、ABQやエマーソンSQを取材してのことだろうと思われるが、それらは例外中の例外であり、普通はもはやこの時点で解散であろう。 そして、芸達者な役者群であるが、弓の返しなどの演技にやはり相当な無理を感じる。「愛を弾く女」でのエマヌエル・ベアールのような猛特訓が必要だったと思う。 そんな感じで、結局、リアリティ不足が最後まで気になった。 それに、流れる音楽も、テーマになっているベートーヴェンの作品131に統一されていないのも、どうなのか。「この曲それ自体が人生である」のなら、統一すべきであったと思う。
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