
dreamer
3 years ago

サンダーボルト
平均 3.1
アイダホの麦畑を、牧師が必死で走る。 その後を追う、背広姿の男が、銃を発砲する。 牧師は、通りがかった車に助けを求める。 車を運転していた若い男は、背広の男を軽く撥ね、いやいやながら、牧師を車に乗せる。 このファーストシーンが、この映画「サンダーボルト」の基調音だ。 広々としていて、どこかのんびりしている。 派手なアクションはあるのだが、間抜けな味もついてまわる。 この映画を撮っていた頃のマイケル・チミノ監督は、「ディアハンター」や「天国の門」で煮詰まってしまう、"いっぱいいっぱい"の映像作家ではなかった。 牧師に身をやつしていたのは、サンダーボルト(クリント・イーストウッド)という泥棒だ。 彼を追っていたのは、金を持ち逃げされたと勘違いした、かつての仲間レッド(ジョージ・ケネディ)だ。 若者はライトフット(ジェフ・ブリッジス)という風来坊のチンピラ。 結局この三人は、元の仲間であるグディを加えて、金庫破りに走るのだ。 それも、以前の犯行を再現しようとするのだった。 山と霧が大好きだというマイケル・チミノ監督は、砂埃を濛々と舞い上がらせながら、広大な空間に彼らを放つのだ。 と言っても、彼は、公開当時、アメリカ映画界を席巻していた、アメリカン・ニューシネマの十八番だった反抗精神などを描こうとはしない。 むしろ彼は、ジェフ・ブリッジスの姿を通して、ものにこだわらない気分を形にした。 この気分が、1970年代のもう一つの特徴だった事は言うまでもないだろう。 それに応じて、クリント・イーストウッドも、この作品の中で、悠々と遊んでいるような気がしましたね。