
てっぺい

エンドロールのつづき
平均 3.4
2023年01月20日に見ました。
【続く映画】 監督の、映画を愛しすぎた幼少期のとんでもない実話。オマージュふんだんの映画愛しかない作風で、監督が現在アカデミー会員になっている事からも、前向きなラストにその輝かしい“エンドロールのつづき”を連想する。 ◆トリビア ○ 映写技師ファザルのモデルとなったモハメッドさんも、実際に2011年のデジタル化で失職。その後2021年にコロナ罹患で他界した。生前に一度だけ本作を鑑賞し、監督に「もう一度だけフィルムの匂いを嗅ぎたい」と話したという。(https://screenonline.jp/_ct/17598756) 〇本作は、日本で話題となった『RRR』を抑え、第95回アカデミー賞インド代表(国際長編映画賞)としてショートリストにも選出され、ノミネートへの期待が高まっている。(https://www.cinemacafe.net/article/2023/01/16/82963.html) 〇本作は、トライベッカ映画祭ほか、世界中の映画祭で5つの観客賞を受賞、バリャドリード国際映画祭では最高賞にあたるゴールデンスパイク賞をインド映画として初めて受賞した。(https://www.banger.jp/news/90666/) 〇お弁当を交換条件に映画を見せてもらっていたのは実話。ガラスやミシン、扇風機などを集めて自分なりの映写機を作ったのも実話。(https://www.cinemacafe.net/article/2023/01/16/82963.html) 〇原題は「Last Film Show」、監督は未来を感じられる邦題の方が気に入っている笑。(https://www.cinemacafe.net/article/2023/01/16/82963.html) 〇監督のパン・ナリンは世界一の映画ファンを自負。自身でも映画クラブし、3万5000点以上のDVDやBlu-rayディスクを収集、200を超える映画祭に参加、もしくは審査員として出席してきた。(https://toyokeizai.net/articles/-/641652) 〇公式HPには「道を照らしてくれた人々に感謝を込めて」として著名な映画監督の名前(スティーブン・スピルバーグや黒澤明など)が明記されている。(https://movies.shochiku.co.jp/endroll/) 〇撮影ロケ地は、監督の故郷でもあるインド・グジャラート州。子役たちも全員グジャラート州出身であることにこだわった。(https://www.fashion-press.net/news/93524) 〇サマイが女性のバングルを眺めながら、監督の名前を連想する場面は、幼少期の監督自身が“色とりどりのバングルひとつひとつが映画だとしたら、何の映画だろう”と想像を膨らませた経験から生まれたシーン。(https://www.fashion-press.net/news/93524) 〇パン監督は日本初の女性映画監督である坂根田鶴子を例に挙げ、映画界における“女性活躍のパイオニア”は日本だったと考えている。(https://ananweb.jp/anew/462830/) 〇「お母さんのお弁当」を、インド料理店「ムンバイ」(都内、四谷と銀座)が再現。期間限定で味わえる。(https://mumbaijapan.com/news/202301_endroll/) ◆概要 インドのチャイ売りの少年が映画監督の夢へ向かって走り出す姿を、同国出身の監督自身の実話をもとに描いたヒューマンドラマ。 【監督・脚本】 パン・ナリン(インドのグジャラート州出身者として初の米アカデミー会員) 【出演】 バビン・ラバリ(主人公役。約3000人の中から選ばれた新人) 【原題】「Last Film Show」(直訳で「最後の映画上映」) 【公開】2023年1月20日 【上映時間】112分 ◆ストーリー インドの田舎町で暮らす9歳の少年サマイは、学校に通いながら父のチャイ店を手伝っている。厳格な父は映画を低劣なものと考えているが、信仰するカーリー女神の映画だけは特別だと言い、家族で映画を見に行くことに。初めて経験する映画の世界にすっかり心を奪われたサマイは再び映画館に忍び込むが、チケット代を払えず追い出されてしまう。それを見た映写技師ファザルは、料理上手なサマイの母が作る弁当と引き換えに映写室から映画を見せると提案。サマイは映写窓から見る様々な映画に圧倒され、自分も映画を作りたいと思うようになる。 ◆ ◆以下ネタバレ ◆ ◆映画愛 自分の手を包んだ、映画を作る光に心を魅了されたサマイ。学校をサボっても、“2度とくるな”とつまみ出されても映画への情熱を諦めない。やがてお弁当を取引に映画鑑賞を取り付け、さらにはファザルとのふれあいを通じて、仲間の協力を得て、映写機を作り上げてしまう。この発想力と、それが実話という驚き。映画愛を語る作品は数あれど、実際に映像を映し出してしまうほど映画の原理から愛を描く作品はない。映写機に愛おしそうにキスをするサマイの一瞬の描写がとても印象的だったし、一映画ファンとして、映画を楽しむ魅力をこれだけ表現してくれた事に感謝すらしたくなる。 ◆オマージュ 冒頭、駅に列車が来て、グレーからカラーに変わるのは、映画の父と呼ばれるリュミエール兄弟の「ラ・シオタ駅への列車の到着」。最近では「NOPE」('21)で引用された、映画の元となったと言われる「動く馬」の描写もあった。あのテーマ曲そのままにスタンリー・キューブリック「2001年宇宙の旅」のオマージュも。そもそも作品そのものが現代の「ニュー・シネマ・パラダイス」。フィルムから生まれ変わったバングルを眺めてサマイが連想した映画監督・俳優達(アーミル・カーン以外のインド人は勉強します笑)と、こちらも映画ファンには見逃せない本作の楽しみ方だった。 ◆現実 “英語を話せる者と話せない者に分かれる”との先生の言葉の通り、英語が出来なかったファザルが失職(彼のモデルとなった監督の友人の映写技師も同じく2011年にデジタル化で失職したそう)。“GALAXY”が読めて、前へ未来へと進んでいくサマイとはこのデジタル化を起点にある意味対比として描かれていた。エンドでの、映像がフィルム化し、切れていくのも、そのフィルム時代を憂う、本作のラストにふさわしい演出。ただし、映画としてはあくまでもサマイが夢を持って進んでいく姿とそれを見送った家族と仲間でまとめてある。今現在アカデミー会員にまで成り上がったパン監督自身がその明るい未来を証明しているように、“エンドロールのつづき”にはあの七色に光るバングルのような、サマイの輝かしい未来が待っているはず。 ◆評価(2023年1月20日現在) Filmarks:★×4.1 Yahoo!映画:★×3.0 映画.com:★×4.7 引用元 https://eiga.com/movie/94775/