レビュー
Till

Till

4 years ago

4.5


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告白

映画 ・ 2010

平均 3.5

湊かなえによる同名ベストセラー小説を原作とするミステリー映画。 有名すぎて逆に観てなかった作品なのだが、今まで観なかったことを後悔する大傑作だった。ストーリー・演出・構成すべてが完璧にまとまっているが、なかでも中島監督の演出力が冴え渡っており、扱っている内容は「少年犯罪者に対する壮絶な復讐劇」というドロドロとしたえげつないものであるにもかかわらず、アーティスティックな作風に仕上がっていて不思議と「美しさ」すら感じるのである。彼は元々CMディレクターということもあって、やはり「どうやって撮ればインパクトを残せるか」を熟知しており、とにかく「画作り」が抜群に上手い。BGMの使い方も秀逸で、主題歌に起用されているレディオヘッドの「Last Flowers」には特に痺れた。レディオヘッド特有の陰鬱さ・物哀しさが本作の雰囲気と絶妙にマッチしており、この選曲センスも見事としか言う他ない。自宅で映画を鑑賞するときって、どんなに尺が短くても残り時間を確認してしまうものだが、本作に関してはこの卓越した演出力のおかげで始めから終わりまで一切飽きることなく没入してしまった。 ストーリーもそもそも原作の出来がいいのでもちろん面白い。「娘を殺された女性教師が犯人の少年Aと少年Bに復讐する」といういわゆる“リベンジもの”なのだが、一つの事件をそれぞれの「告白」という形で多角的に捉えることで、各々の人物の「思惑」や「背景」が徐々に明らかになっていくという独特な手法で展開される。その掘り下げ方も丁寧で、少年A・少年Bの犯行理由はいずれも思春期ならではの「承認欲求」に統一されており、ちゃんと物語的に“納得のいく”(もちろん同意はしないが)意味づけがなされているのも見事。 終盤の畳みかけも凄まじい。観念的な映像を織り交ぜながら、森口の復讐が収束していく様はもうカタルシスさえ覚える。そして、最後の最後で無理やり教育的なメッセージをねじ込んできたか…と思った瞬間に放たれるあのトドメのセリフ。この徹底した「容赦のなさ」には震撼した、と同時にどこか「感動」に似た感情をもこみ上げてきた。ただ、徹底しすぎているが故に、一部から「子供相手に…」「大人げない…」みたいな声が上がっているのも事実だが、個人的には殺人を犯す奴に子供も大人も関係ないと思ってるので(少年法にも反対派)、これぐらいで全然アリだと思う。 間違いなく一般受けはしないタイプの「問題作」だし、賛否分かれる内容であるので、これが興行的に大ヒットを記録し、日本アカデミー賞でも最優秀作品賞に選ばれたという事実が未だに信じられないです。