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劇場
平均 3.3
コロナ禍のせいで劇場とアマプラがまさかの同時上映をしたその名も「劇場」。 又吉直樹氏の原作は未読です。 彼の「火花」は原作、映画、ドラマと観ていますが、今回の映画も同じように「物事を考えて作る」側の気持ちを赤裸々に描いた、ある意味玄人向けの作品だと感じました。 劇団の脚本、演出を手掛ける永田(山﨑賢人)はある日、女優志望の女子大生、沙希(松岡茉優)と出会う。 自分の才能を信じつつ劇団の運営に苦悩する永(なが)ちゃんをけなげに支える沙希だったが、2人の関係は少しずつ歪み始める…そんなお話。 無精髭でボサボサ頭、服装もルーズで適当なお金のない劇団員を山﨑賢人が熱演。 永田のクズっぷりはひどくて、すぐに物に当たるヒモ男。 自分の夢を追いかけて不器用に生きる男をしっかり演じていました。 沙希が譲ってもらったバイクをボコボコに壊すシーンは最低。 その後に自転車を買っても帳消しできない。 そんなクズ男を誉め称えて支えるのが、田舎から上京してきた沙希。 放っておけない永ちゃんのために世話を焼く姿にはイライラしました。 (松岡茉優ちゃんがうまいから余計に。) ひどい扱いをされても依存し合う2人でしたが、沙希の心が壊れていく。 この辺は観ていてヒリヒリした気持ちになりました。 桜を観に行く自転車2人乗りシーンは素敵。 この一瞬のためにどれだけ遠回りをしてしまったのか。 そして最後の仕掛けのシーンはとても良かった。 タイトル通りの「劇場」が現れる意味が大きい。 夢を目指して東京で暮らす人間の心の動きを丁寧に描いた内容で、お馴染みの下北沢や梅ヶ丘図書館とか舞台も個人的にドンピシャ。 そしてピースの又吉さんはとても好きで感性に惹かれることがあります。 高校サッカーでも活躍され、大人になって三浦淳宏選手の引退試合にまさかの出場。 「又吉、サボるな!」のエピソードを含め、漫才以外の活躍にも目が離せないです。 今回の「劇場」は原作も読みたいし、どこか純文学を感じられるのでこれからの執筆にも期待します。