
七彩

子猫をお願い
平均 3.5
2021年03月29日に見ました。
求めていたティーンムービーかも知れない。正確には20歳だけれど。 ティーンムービーの大きな主題は、今まではあまり目立たない存在だった子が・あるいは人生に行き詰まっていた子が・あるいは大きな壁にぶち当たった子が、何かを見つけて・達成して・成長する過程を描くものだと思っていたし、実際それを求めていた。 しかし、ティーンも終わり20代に突入した今、そのキラキラとした明るい話にほんの少しだけ違和感を感じるようになった。今まではスッと入ってきて、めちゃくちゃに大好きだったローラーガールズダイアリー、レディバード、ブックスマートなどに共通するほんの少しの"違和感"の正体は、『何かをしなきゃいけない』という観念だと思う。例えばブックスマートでは、主人公たちが高校生活で何もしていないことに気付き、何か思い出に残ることをしなくちゃ!と奮起するところから物語が始まる。しかしこの観念というのは、周りと同じことをしなくてはいけないという風潮からくる感情な気がするし、また高校生活に特になんの変化もなく過ごした私は何かしなければならなかったかというと、そうでは無い。何もなかったけれど、楽しかった記憶はしっかりある。ティーンムービーの主題であるし、これによって勇気付られたことは何度もあったが、そろそろ"何もしない"をただ描くティーンムービーがあっても良いのでは、と漠然と思っていた。 そこで出会ったのがこの『子猫をお願い』である。いちいちリアルで、それでいてフィクション的要素もあり、でも劇的な起承転結はなくて。普通の生活を送る私に向けたような、そんな気を起こさせてくれるベストな映画だった。 主人公たちは20歳に成り立て(だと伺える。終始登場人物たちの説明や深堀はない、しかしそこがミソ)の女性5人は高校の親友たちで、しかし就職や進学などでバラバラになってしまった数ヶ月後から物語が始まる。 家業のサウナ経営を手伝いながら"お人好し"と揶揄されるようなボランティアをしている人、大企業に入ったが実際は雑用ばかりさせられている人、手作りアクセサリーを売りながら姉妹で仲良く暮らす人、貧困に苦しみながら絵を描く人。共通するのは、大学に通っていなくて(=学歴がないという設定)、社会から少し外れさせられてしまったこと。それぞれ物語のキャラクターとして十分な要素を持っていながら、しかしそれがものすごく現実に居そうな(いるかもしれない)人になっていて、登場人物たちが多くを語らなくてもすんなりと理解出来る。場面状況もリアル然ることながら、それぞれの価値観もバラバラなのにどれも共感できた。『物理的距離を埋めるために会わないと、友情が崩れちゃうよ』や『お互い同じ環境じゃないから話題も揃わないね』というセリフが、まさに今の自分そのまんまの思いで、説得力があった。 マイベストムービー、堂々の1位! DVDも買っちゃったしね。