レビュー
レビュー
star2.5
ウォン・カーウァィの映画で、私的には面白かったものは一つも無かったのだが、何とカンフー映画を撮ったというので、興味津々で観はじめた。 結果的には、次の3点でやはり・・という出来だと思う。 まず、この映画、紛れもなくカンフー映画なのだが、カンフー・ファンにとってみれば、どちらかというと怒りを覚えるのではないかというシロモノだと思う。本来、殺人的な威力を持つ拳法をフューチャーしたアクションとしては、あまりにも様式化していて、むしろダンス映画と言っても良いくらいだ。非常に美しいのであるが、迫力やリアル感に全く欠ける映像だと思う。 次に、主人公はイップ・マンなのだろうが、ストーリーの核は完全にチャン・ツィー扮するルオメイであって、その点で変に群像的になっており、ヒロイズムに著しく欠ける内容だと思う。中盤では、観客の全てがイップ・マンのことなど忘れてしまうであろう展開で、ちょっと問題だと思った。 そして、背景の説明や人物の説明が不親切で唐突である。途中で出てくる「カミソリ」など、別に出さなくても良い人物だし、そもそも、南だ、北だ・・ということ自体が解りにくい。有名なエピソードだから観客の事前知識は折り込み済みだ・・みたいな驕りが感ぜられる。 ただ、映画の出来とは別に、中盤の駅と列車を絡めた一騎打ちシーンにおける、チャン・ツィーの「構え姿」の美しさとクールさには敬意を払いたい。このシーンだけだけだな。
10