レビュー
dreamer

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4 years ago

4.5


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殺人捜査

映画 ・ 1970

平均 3.2

アカデミー最優秀外国語映画賞、カンヌ映画祭審査員特別賞受賞作のエリオ・ペトリ監督の「殺人捜査」を久し振りに観直しました。 ローマ市警の鬼と言われているエリート警察官が、情婦を殺害し、現場にわざわざ数多くの証拠を残していきます。 だが、誰も彼の犯罪とは気がつかないのです。 やがて、遂に彼は自白するのですが、上司はそれを認めようとしません。 殺人事件そのものを、闇の中へ葬り去ろうとするのです。 この映画は、凄まじいサスペンスに満ちた人間ドラマです。 いわば、現代版ドストエフスキーの「罪と罰」とも言えます。 この映画を観て、私が感じる一番のポイントは、有能なエリート警察官が、権力というものと自分の才能をオーバーラップしてしまう怖さです。 警察権力というのは、民主主義の国においては、国民から警察官が預かって代行しているはずなんですね。 それをえてして間違う警察官がいる。 組織を第一に考えるところから始まる勘違いですね。 制服が優秀なのではなく、その中の人間が優秀であるはずなんです。 映画のラストで、事件の処理をするのに、ブラインドを下ろして、全てを隠してしまう恐ろしさ。 権力というものの怖さをまざまざと、我々に語っています。 この映画でエリート警察官を演じているのがジャン・マリア・ボロンテ。 「荒野の用心棒」や「夕陽のガンマン」にも出演していた、イタリア映画界屈指の名優です。 監督のエリオ・ペトリは、批評家から脚本家になり、さらに記録映画を経験して、映画監督になった人ですが、現実の不安の中に人間の真実を探ろうとする作風で、これまでも「悪い奴ほど手が白い」や「怪奇な恋の物語」など、独特の乾いたタッチの名作を発表し続けてきた監督なんですね。 音楽は、「夕陽のガンマン」などの映画音楽界の巨匠エンニオ・モリコーネ。 イタリア映画ならではの、社会派ドラマの秀作で、映画史に残る一篇だと思います