レビュー
【ホラー満腹映画】 3時間みっちりホラー。前作から大幅にグレードアップしたその要素で、もうホラーの満腹中枢限界越え。「スタンドバイミー」にむしろ寄せた、大人の青春活劇にもほっこり。 ◆概要 ホラー映画歴代最高興収を記録した「IT イット “それ”が見えたら、終わり。」('17)の続編にして完結編。出演は「X-MEN」シリーズのジェームズ・マカボイ、「女神の見えざる手」のジェシカ・チェステインら。監督は、前作に引き続き「進撃の巨人」のアンディ・ムスキエティ。脚本も、「死霊館」シリーズのゲイリー・ドーベルマンが続投。 ◆ストーリー 小さな田舎町で再び連続児童失踪事件が起こり、「COME HOME COME HOME(帰っておいで……)」という、「それ」からの不穏なメッセージが届く。幼少時代に「それ」の恐怖から生き延びたルーザーズ・クラブの仲間たちは、27年前に誓った約束を果たすため、町に戻ることを決意するが……。 ◆感想 3時間、まあホラーの連発。音と共に体がビクつき、不気味な様態に目を覆う。何はともあれ、ホラー映画を3時間みっちり堪能できる映画。子供のホラーだった前作から大人になり、多方面でホラー要素が確実にパワーアップ。ペニーワイズのあの様態も見もの。さらに、再び集結したルーザーズクラブが、“ホラー版スタンドバイミー”と称された前作の回顧を交えながら、互いの絆を深め合っていく青春活劇面も見応えあり。 ◆ ◆以下ネタバレ ◆ ◆ホラー まあこれだけ映画でみっちりホラーを体験したのも初めて。中華料理屋で餃子(?)から次々と生まれ出した奇形物達に見た前作との差に、これからこの映画で起こるホラーの威力の可能性を感じた。全体を通してその予感は間違ってなかったし、一つ気になったのはその様態。中華料理屋の奇形物も、屋敷でのスタンリーの奇形物も、ペニーワイズの巨大最終形態もクモ型。原作を脚本・映像化する際に、恐怖のビジュアル化として製作側の頭の中にあったアイコンだったと思うし、そんな“形態型恐怖”が前作にはなかったものだと感じた。同じ監督なのに、そんな恐怖への概念をプラス出来た事が素晴らしい。また、前作で気になっていた“昼ホラー”(ホラーシーンが明るい場ばかりで恐怖感に欠ける)も、今作ではほぼ夜となり、恐怖倍増。 ◆回顧 前作にはなかった過去のシーンが、本作で足されていくのが面白い。ベンが秘密基地を作っていたなんて笑。ベバリーがあんなところに手紙を隠していたなんて。幼少期の前作から大人期の今作という位置付けの中で、映画として興味深く見れるそんな構成が本当にお見事。この映画でしか出来ない事だと思う。 ◆スタンド・バイ・ミー ラストでビルが書き物をしているシーンが、「スタンドバイミー」でゴーディーが書斎でタイプ打ちしていたラストと丸かぶり。同じスティーブン・キング原作として、監督もしくは脚本家が寄せていったとしか思えない笑。 ◆違和感 バワーズが生きていたのなら、正直もっと意味のある役どころに置いてよかったし、ゾンビとして復活した友人がドライブまでしてしまうし、しかもその後消える笑。マカヴォイの配役もビジュアルの差が気になったし、まあ3時間もあれは気になるところがあるのは当然か笑。 ◆ まあそんな部分もご愛嬌。何はともあれ3時間みっちりホラーを堪能できる、これはこれで振り切った映画。完結編とうたわれているものの、チャプター2とある原題に、個人的には続編のにおいも。次回はなるべく違和感のない上質なホラーを期待したい笑 ◆トリビア ○アメリカで排水溝に赤い風船がくくりつけられるイタズラ事件が起こり、警察が「風船を取り除くとき、めちゃくちゃ怖かった。お願いだから二度としないでほしい」と声明を発表した。(https://eiga.com/movie/88423/special/) ○ ロシアで「バーガーキング」の現地法人が、映画の上映中止を訴えた。理由は「“それ”がドナルド・マクドナルドに似ている、マクドナルドの宣伝になる」というもの笑。(https://eiga.com/movie/88423/special/) ○ 監督のアンディ・ムスキエティと、本作プロデューサーのバルバラ・ムスキエティは実の姉弟。(https://www.excite.co.jp/news/article/Getnews_2261033/)
いいね 15コメント 0


    • 出典
    • サービス利用規約
    • プライバシーポリシー
    • 会社案内
    • © 2024 by WATCHA, Inc. All rights reserved.