レビュー
【人生のヒントをくれるラブロマンス】 タイムトラベルで恋の成功を勝ち得る単純なラブストーリーと思いきや、圧倒的な家族愛に溢れた芯の太い映画。大事な人生のヒントすら与えてくれる。 ◆ 『ラブ・アクチュアリー』のリチャード・カーティス、最後の監督作品。出演は『スター・ウォーズ』シリーズのドーナル・グリーソン、『きみに読む物語』のレイチェル・マクアダムス、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』のマーゴット・ロビーなど。 ◆ 年頃になっても彼女ができずにいたティムはある日、タイムトラベル能力があることを知らされ、恋人ゲットのためにタイムトラベルを繰り返す。しかしどんな家族にも起こる不幸や波風は、あらゆる能力を使っても回避することは不可能なのだと気づくティム。そして、迫られる人生最大の選択——。 ◆ 恋人への愛だけでなく、圧倒的な家族愛に満ち溢れた作品。鑑賞中も鑑賞後も、なんとも言えないあたたかい気持ちに包まれる。 まず前半描かれるのは、ティム(ドーナル・グリーソン)のまっすぐでブレないメアリー(レイチェル・マクアダムス)への想い。タイムトラベルという特殊能力を使った、変質者スレスレの笑、メアリーへのアプローチがなんとも微笑ましい。メアリーが車まで送ってと、家の前の車までティムと歩いて帰ったシーンが、恋の始まりの最強なドキドキを表現していて、とても心がむず痒くなりました笑 ◆ここからネタバレ◆ 後半にかけて、映画は妹や父への家族愛の話に。お互いが“能力”の事を分かっているだけに、最後を悟った父と息子の、ラストで向かったタイムトラベルは、涙が止まらなくなる、とてもあたたかいシーンでした。 またラストの“パパの秘訣”が、ハッとさせられる、人生のヒントを与えられたような感覚。ティムが2度目の同じ日を過ごす“人生の素晴らしさに気づく”シーンは、笑顔に溢れて、周囲にも笑顔が広がるような本当にステキな描写。自分の実生活でも、気持ちをいつもより軽く持てばきっと笑顔が増える、そう考えさせられました。そんな描写の一つ一つが、オーラスのティムが至る結論の尊さに繋がっていると思います。ホントによく出来た映画。 視点を変えて見てみると、タイムトラベルの不必要さというか、そんな裏テーマみたいなものを、この映画はいくつか描いているように思う。自分が落ちこぼれだと嘆く妹のシーンは、タイムトラベルで兄が積み重ねたなまじ完璧な人生に、どうしても生まれる兄妹間の妬みや歪みの表れ。またこの映画のパッケージにもなっている、嵐の結婚式の中幸せそうに笑うメアリーもそう。本当ならここもタイムトラベルで式そのものをやり直す発想になるところを、笑顔に溢れた2人や友人達のシーンを重ねたのは、ラストの結論に繋げる製作側の意図的な布石のように思えた。 本質ではないけど、ローリーと叔父の立ち位置がツボ笑。何やらせてもダメダメなローリー、でもいつも笑顔なのがいい。シャーロットに、あなたは?と聞かれて元気、と答えたシーンには吹いたし笑、誰の子供だとメアリーに聞いてしまう叔父も、イギリスジョークっぽさがあったと思う。まあこの映画の脚本と監督も務めたリチャード・カーティスの実力のなせる技というところでしょうか。引退作にするには本当にもったいない。 できれば自分の人生の大事な局面でまた見たいと思える、とてもステキな映画でした!
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