レビュー
ジュネ

ジュネ

5 years ago

3.5


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SWALLOW/スワロウ

映画 ・ 2019

平均 3.3

直近で劇場公開された新作をレビュー、今回取り上げるのは、裕福な暮らしを送っていたはずの女性が異食症に苦しむ『スワロウ』。 ------------------------------------------------------------ 様々なものをゴクリと飲み込む描写に身の毛がよだつ一方で、抑圧されてきた女性が自らを解放するまでを描く優れたドラマに仕上がっており、ただのサスペンスで終わらせない不可思議な奥深さを放つ作品でした。序盤から、切り取られた構図の1つ1つに目配せしたくなる細やかさもあり、新人監督の長編1発目としては只ならぬクオリティではないでしょうか。 ------------------------------------------------------------ 例えば彼女の暮らす家の中にはやたらとシンメトリの構造が映えます。鏡を通してハンターを捉えるシーンも繰り返されますし、赤いソファに青のセーター・黄色の高級外車に緑の芝生…と色のコントラストが目立ちます。ハンターは常に何かとのバランスを意識し、努めて「均整」を保とうとしています。ところが中盤の決定的なカミングアウトからも分かるように、彼女は潜在的に自分が極めて「異質」で「汚い」存在だということを知っているんですね。 ------------------------------------------------------------ 本作では異食症を単なるフラストレーションからくる「自傷行為」として描くのではなく、異物を飲み込むことで異質な自分の存在を確かめる、「自己肯定の手段」として描いています。終盤に彼女が下す決断は衝撃的でかなり議論の的になったそうですが、本作が1人の女性の「自分自身と向き合うための物語」だと考えれば、十分「飲みこめる」んじゃないかと思います。 ------------------------------------------------------------ 映像を見ただけで痛みを想像しちゃう人にはお勧めしにくいですけど、先入観に捕らわれるのはもったいないですから、是非チャレンジしてみてください。