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イゴールの約束
平均 3.7
原題はフランス語で「La Promesse」。 「約束」と言う意味。 かなり久しぶりの再鑑賞ですが、邦題のタイトル「イゴールの約束」は好きです。 ベルギーのダルデンヌ兄弟監督の作品は多く観ていますが、ほぼ30年前のこの作品からずっとテーマがぶれていない。 相変わらず世界で不法移民問題が絶えない今だから、余計に心を動かされました。 15歳のイゴールは学校にも行かず、自動車工場の見習いをしている。 何度も仕事を抜け出すイゴールはクビになる。 それは父親ロジェに完全に支配されているから。 父親は不法移民の斡旋業をしていてイゴールに手伝わせている。 何でもお金で考える父親に育てられ、イゴールも大人相手に宿泊代やその他を取り立てている。 ある日、不法移民のアミドゥが事故に合い、「妻と子どもを頼む」とイゴールに言い残し死んでしまう。 その遺体をコンクリート詰めにして隠した父親ロジェ。 しかしイゴールはアミドゥとの約束を忘れられなかった… そんなストーリーです。 イゴールを演じるのは当時15歳だったジェレミー・レニエ。 彼の作品もたくさん観ているが、最近は『ノーベンバー フランス警察最悪の5日間』の時はすっかり老けていてビックリ。 (それでも45歳なんだけれど) この作品のジェレミー・レニエは子どもながらに演技も上手い。 大人を騙して財布を盗んだり、父親の行動から次々と助っ人役に徹するイゴール。 彼はとんでもない悪党ではなく、同世代の友達と持ち寄った部品で変形ゴーカートを作るなど楽しみもある。 イゴールが忙しそうにミニバイクで疾走するのはいつも父親に呼びつけられるから。 バイクで走る時は支配された彼が子どもから大人にならざるを得ない、そんな切り替えになっている。 ブルキナファソからの不法移民、アミドゥが呼び寄せた妻アシタと赤ちゃん。 アミドゥが死んだことも隠され、イゴールは気になって仕方ない。 父親ロジェは嘘の電報を打ったり、他の男に襲わせたり、いろんな手段でアシタを国に帰らせようとする。 それを見ていたイゴールはアシタに寄り添い、父親ロジェに初めて反発するのです。 イゴールの生育歴はまったくわからない。 母は?父と髪の色も違うが本当の親子関係なの? そんな事をずっと考えて観ていた。 ロジェが違法な仕事をしながら育てたとしても、いつかはイゴールも大人になっていく。 そのきっかけがアミドゥとの約束だとしても、親子の主従関係がずっと続くとは思えない。 終わり方もダルデンヌ兄弟らしく、これからも人生が続く…。 ロジェ役は常連俳優のオリヴィエ・グルメ。 相変わらずの安定した演技で若いジェレミー・レニエの存在を引き出していた。 と言うことで、ダルデンヌ兄弟監督作品は最新の『トリとロキタ』まで期待を裏切らない作品ばかり。 それの出発点は「イゴールの約束」だったのかもしれない。