レビュー
cocoa

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2 years ago

2.5


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千夜、一夜

映画 ・ 2022

平均 2.8

北の離島の港町が舞台。 イカの加工場で働く登美子(田中裕子)は30年前に失踪した夫を待ち続けていた。 ある日、2年前に夫が失踪したと言う奈美(尾野真千子)が相談に来る。 行方のわからない夫を待つ2人の女性…しかしそれは対照的な生き方だった…そんなストーリーです。 年間8万人にもおよぶ失踪者の数。 監督は地域を特定していないが、やはり拉致の可能性のあるとされる佐渡島が舞台。 でもほとんどが標準語なのはちょっと残念だった。 登美子を演じる田中裕子さんは安定の存在感だった。 30年前に夫が失踪した理由もわからず、周りの人達も事情を汲んでそっとしている。 幼馴染みの漁師、春男(ダンカン)はずっと登美子を好きで一緒になりたがっている。 それにしても春男の母親(白石加代子)や町の年寄りたちに「一緒になるように」強いられるのは嫌だな~。 登美子は地域の人達に夫の事で世話になった恩もあるから毅然には断れないのか、その辺も難しい。 奈美の登場で2人の対比がくっきりする。 30年待ち続ける登美子と、2年待ったが離婚に向けて動く奈美。 後から奈美の夫(安藤政信)が戻っての修羅場はさすが尾野真千子!だった。 登美子は30年間、夢遊病のように、いなくなった夫に話しかけていたのだろう。 夫婦のわずかな思い出を胸に、いつの間にか話し言葉も淡々となり、海を見つめて生きている日々だった。 「帰ってこない理由なんてないと思ったけど、帰ってくる理由もないのかもしれない」 「もういないかもしれない」 「人間なんてあっけないから」 そう話す登美子は未来なんて見ていないと感じた。 あぁ、30年って長いようで短いのかな…。 きっとこれからも待ち続けるのだろう。 ラストで、一度はいなくなった春男と海でもみ合うシーンは要らなかったと思う。 何だか、制作側のこだわりを急に感じてしまい、一気に気持ちが冷めた。 小さな港町に生きる人間のしがらみを拒絶する登美子を描きたかったのだろうけど…。 それから春男の母親を演じた白石加代子さんはとても良かった。 暗い電気の下で機織りをしたり、春男のこの先を案じたり。 いなくなった春男を心配し「待ってるってつれえもんだね」と吐露する年老いた姿が印象的でした。