レビュー
cocoa

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3 years ago

4.0


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ホームワーク

映画 ・ 1989

平均 3.4

今は亡きアッバス・キアロスタミ監督の作品。 原題の「Homework」…「宿題」についてテヘランの小学校で子ども達にインタビューする、映画と言うよりドキュメンタリー。 ストーリーはないが、キアロスタミ監督の狙いどおりにイランの教育制度の問題点はしっかり伝わるし、相変わらず子ども達の存在が光っていた。 監督自身がいつも家庭で感じている子ども達の宿題の多さをテーマに校内で一人一人にインタビューする。 宿題を忘れた子、できなかった子に聞いてみると問題点がわかってくる。 「書き取り」の宿題を見てほしくても、親達が字を読めずに兄や姉に頼るしかない。 それでも宿題が多すぎて兄に叩かれる子もいる。 そもそもイランの家庭では子どもがやるべき手伝いが多く、宿題と親の叱責に追われてばかり。 さらに日常的に子どもに体罰をする親が多い。 「友だちのうちはどこ?」でもあったが、理由はなくても4日に一度は殴っている、そんな大人ばかりの社会なのだろう。 子ども達の答えもいろいろ。 「罰」は知っていても「ご褒美」を知らないなど。 そんな中で一人の男の子が… 「罰は子どもが頑固になるからダメ!」 「殴られると子どもは頑固になって余計に宿題をやらない。」と言うシーンが印象的。 さらに学校で先生に体罰を受け、今回のインタビューでもすぐに泣き出すマジッドの表情が暗い。 友達のモライにそばにいて欲しいと泣いて訴える。 (サングラス姿の)キアロスタミ監督を見て何かされるのではと恐怖におののく姿は複雑だった。 体罰を受けてすっかり弱虫になったマジッドがラストに宗教詩を完璧に暗唱する姿こそがイランの教育の歪みそのものだった。 女の子が一人もいない学校で、 「イスラムは勝つ!」 「西と東を倒せ!」 「フセインは地獄へ堕ちろ!」と集会で声をあげる子ども達。 最近のイランの体制はまた逆戻りの印象だが、だからこそキアロスタミ監督の視点が必要なのに…。 そんな事を改めて感じた作品でした。