レビュー
星ゆたか

星ゆたか

3 years ago

3.0


content

峠 最後のサムライ

映画 ・ 2020

平均 2.8

2023.2.24 1867年の《大政奉還》 江戸幕府第十五代将軍徳川慶喜が天皇に政権返上をした。 それは徳川幕府は300年近く、鎌倉幕府から数えれば700年近く続いた武家政治の終わりを意味した。 司馬遼太郎原作による本作は、その新政権を得た討幕派の新政府軍(西軍:薩摩・長州)が旧幕府派(東軍:長岡軍ら奥羽越列藩)の排除に出て行く時期の一年だけを描いた映画。 当時長岡藩の家老の河井継之助は新政府軍の、軍資金や兵士の供出の要求に沈黙。東軍加盟にも加わらず中立の立場を維持し、戦争を避けるための嘆願書を持って、土佐藩の岩村精一と会談【小千谷会談】した。 しかし二十歳そこそこの血気盛んな岩村(吉岡秀隆さんでは?撮影前地元へ行き研究準備されたそうですが)は、歳再度のこの河井の申し出を却下し。 その結果690人の長岡藩に対し、50000人の新政府軍に立ち向かう戦に突入した。一時は落城した長岡城を奪回するも再び陥落させてしまう。長岡の街は焼き尽くされ、戦死者340名、100名に近い領民も犠牲になり、戦争始動者として批判されたこともあったという。 そして継之助は戦線で左足に銃撃を受け重傷し、それが元で42歳の生涯を閉じた。 ただ『民は国の本 吏は民の雇』や 『一粒の米を二つに砕いても領民を飢えさせない』などの言葉。 陽明学の山田方谷に学び。家老として藩をきちんとしていくために、税制の改革、汚職をなくす、賭博をつぶす、遊廓を廃止など地道にやってきた人物でもあり。 原作者の司馬遼太郎さんが、小説の後書きにこう記しているそうです。 《人がどう行動すれば美しいか、ということを考えるのが江戸の武士道倫理。 また人はどう思考し行動すれば公益のためになるかということを考えるのが江戸期の儒教。この二つが幕末人を作り出している。》 原作未読の私としても本作は幕末歴史書の入門編としての位置づけか。 しかし劇中語られる言葉など好きな所は豊富❗ 1.「余念を持つな」(継之助が奥さんに髭剃りさせる所) 2.「ツラで心の機敏を書け」(絵心のある継之助の盟友の息子に) 3.「カラスが好きなのは朝日や夕陽の、太陽に向かって飛んでるから」 4.「オルゴールの音は心を穏やかにする」(スイスから取り寄せ奥さんに贈る) 5.「己れを尽くして天命を待つ」 6.「後の世の人間のためにこの戦いは意義がある」 7.「お互いの顔を見るのでなく、お互いに同じ方向を見ることが大切」 8.「形こそ深山かくれの朽木なれ  心は花に なさばなりなん」 (読み人知らず)などなど。 監督は小泉堯史さん(1944年生まれ) 茨城県水戸市出身。 徳川家康の孫にあたる水戸黄門 (徳川光圀)さんらの系図に縁のある方だ。 70年に黒澤明監督に師事。 「雨あがる」(00)「阿弥陀堂だより」(02)が好き! 俳優さんでは役所広司さん(56年生まれ)松たか子さん(77年生まれ)を始め香川京子さん、田中泯さん、永山絢斗さん(継之助の従僕役、役所さんに“セリフが少なくっていいね”と言われ“僕だってしゃべりたいです”と答えたとはクスリ笑う)AKIRAさんなどが印象的でした。 河井継之助という“変わり者”という一面を(妻を芸者遊びに誘うなど)前半に持ってきて。 この“軽妙洒脱な人らしさ”を歴史に親近感を持ってもらうための描写にしている。 本作品で描けなかった原作の部分も見てみたいと思った映画でした。