レビュー
星ゆたか

星ゆたか

8 months ago

3.0


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チャイコフスキーの妻

映画 ・ 2022

平均 3.1

2025.8.11 [白鳥の湖]や[くるみ割り人形]等で知られるロシアの作曲家。 ピョートル·チャイコフスキー(1840.5.7~1893.11.6)と。 その妻.アントニーナ·ミリューコヴァ(1848.7.5~1917.3.1)との相性の悪さが人生を狂わさせた物語。 チャイコフスキーは母親の音楽(ピアノ)の才能と神経質な性格を引きついたとされる人物で。 彼の10代の多感な思春期を。 法律の全寮学校で送った為に。 同性愛性嗜好を触発されたとされる。 当時のロシア社会ではタブーとされた同性愛だが。 異性のいない男子寮生活では往々にして有ることで。 問題は成人しても、その性嗜好が変わらない事で。 チャイコフスキーは法律より音楽の世界に進む事を決め。 23歳でペテルブルグ音楽院に入学する。 ルビンシュタインやロシア5人組(ムゾルスキー)等の音楽仲間にも恵まれた。 後に妻となるアントニーナとの初めての出会いは、彼女が16歳で、チャイコフスキーが25歳の時であったらしい。 彼の方は印象に上がらないが(同性愛者)。 この時から彼女の中では彼の才能を神と崇める存在になったとされる。 彼女の家庭は地方貴族であったが。 両親は仲が悪く、特に母親が毒舌で。 娘(の姉妹)など常に批判的で暗い家族関係であったらしい。 映画ではそのような苦悩を、娘の彼女は救いを信仰に求めるべき。 彼女が路面に布を敷いて、神に祈りを捧げる場面を度々描写している。 彼女が28歳の1877年に。 37歳のチャイコフスキーに熱烈な恋文を出した。 一度目は(常軌を逸してると)断られたが。 2度目には、彼自身の世間体(同性愛者の噂)を気にし。 『静かなる結婚生活を送れるなら』と同意した。 彼女の持参金(土地を売って)も理由で。 これは音楽家にとって作曲活動に大切なパトロン的魅力もあっての事だったらしい。 ただ10年以上彼女にとってチャイコフスキーは心身供に捧げられる、捧げたい存在の人だったので。 想いと言動が強くて。 それに応えられない彼は結婚生活に耐えられず。 6週間でモスクワからペテルブルグへ夫婦共同生活を解消し移ってしまう。 そして弁護士を入れて離婚話を設けた。 チャイコフスキーの性癖が変わらない事を理解出来ない彼女は。 『彼は天才で私は凡人だから愛されない』とする。 見当違いの思い込みに縛られ苦悩する。 映画では離婚問題の彼女側の弁護士と“身体だけ”の愛人生活を秘密の裏にして、私生児を3人もうけても離婚に応じない筋にしているが。 実際は早い内に精神に異常をきたし病院に入院しているようだ。 クラッシック界の三大悪妻と言われる存在として。 ハイドン·モーツアルト·チャイコフスキーの“妻”があげられるそうだが。 夫の仕事を理解せず性格に問題があったとされるハイドンの妻。 浪費家で浮気性のモーツアルトの妻に比べれば。 チャイコフスキーの妻アントニーナは。 音楽院中退と言えどピアノもたしなむし。 チャイコフスキーが普通の異性愛の作曲家だったなら。 良妻賢母になった可能性は高い。 すべては彼女の思い込みの違いと強さが。 また彼との性嗜好の相性の違いが。 人生を狂わしたと言えようか。 その一方的な情愛の強さで狂乱するヒロインという事で。 思い出されるのが。 フランソワ・トリュフォー監督の「アデルの恋の物語」(75年)のイザベル・アジャーニ(当時19歳)だ✨。 本作ではオーディションで選らばれたそうな、アリョーナ·ミハイロフ(26歳)。 チャイコフスキー役には実在の写真に近い感じのオーディン·ランドビロン(37歳)。 セット美術や衣装時代復元も中々の見ものだが。 彼女の満たされない欲望の果ての葛藤と孤独を描く。 全裸の(ボカシが見ずらい)男達との夢想ダンス表現とか。 全体的に幸せな気分にならないのが辛い映画の印象だ。