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マッチ工場の少女
平均 3.4
原題は「Tulitikkutehtaan tytto」。 そのまま「マッチ工場の女の子」の意味。 お馴染み労働者三部作の第3作目です。 主演の少女役が少女らしくないと言う声は多いけれど、いつも中年女性の役ばかりだからそれも仕方ない。 でもやっぱり演じるカティ・オウテイネンは外せない。 マッチ工場で働く少女イリス(カティ・オウテイネン)は少ない給料で母と義父を養っている。 ある日、もらった給料で赤いドレスを買うイリス。 義父には叩かれ、母には「返品してきな」と言われる。 一人で飛び出したイリスはディスコに行き、男アールネと関係を持つ…。 誰にも愛されない孤独なイリスの選んだ道は…そんな救いのないストーリーです。 序盤からマッチ工場の過程が面白い。 太い丸太をシート状にしてさらに細かくしてマッチ棒の原型を作る。 機械から流れてくるマッチ箱の検品をしてシールも確認する流れ作業のイリス。 家に帰り、3人で食事。 質素な食卓にはスープとパン。 イリスの皿から肉を奪う母、こんなシーンだけでもイリスの境遇を知れる。 そもそも母は理由をつけて(?)働かず、義父も横暴な態度でイリスに接する。 誰にも大事にされていないイリスが一夜限りの男に傾倒してしまうのは無理がないのかも。 思わぬ妊娠に「始末してくれ」とのタイプライターで書かれた冷たい返事。 くつろいでいる…(怠けている)家族の後ろではアイロンをかけたり家事をするイリス。 テレビには天安門事件や、ホメイニ師死去、シベリアのガス爆発のニュースなどで世相も読める。 事故にあっても母や義父に疎まれ、イリスは兄を頼るのですが、兄の部屋にあるジュークボックスにはニヤリとしちゃう。 (もう監督の必需品かも) イリスが薬局で殺鼠剤を買う時も、最低限の会話なのが可笑しい。 「イチコロよ」とお墨付きの毒剤を迷うことなく使う展開が続く。 イリスに冷たい男、たまたまバーで隣にいた男、最後は実家に行き母と義父にも使われる。 少なくとも母と義父に毒を盛ることには大賛成。 (イリスにとってその後 最悪な展開になったとしても…) バーに行ってもダンスパーティーに行っても誘われず、壁の花のイリス。 職場でも家でも鬱屈する彼女の心が復讐心に変わっていく過程がたまらない。 少女ではないカティ・オウテイネンが真剣に殺鼠剤を入れる表情がうまかったです。