レビュー
dreamer

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4 years ago

4.0


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ナイロビの蜂

映画 ・ 2005

平均 3.3

この映画「ナイロビの蜂」は、殺された妻の行動をたどりながら、妻の本質を理解していく夫=不屈の園芸家の心の道程を描いた秀作だ。 スパイ小説の巨匠、ジョン・ル・カレの小説の映画化作品で、ケニア在住の外交官の妻(レイチェル・ワイズ)が何者かに惨殺される。 彼女は熱心な活動家で、ケニアの貧困層の医療問題に取り組んでいた。 彼女の夫(レイフ・ファインズ)は、事件の背後の陰謀を探り始めるのだった-------。 この映画は、基本的にはミステリで、第三世界における欧米の大企業の不正の告発が、表向きのテーマですが、さらに重要なのは妻を失った夫が、妻の行動をたどりながら、妻の本質を理解していく姿だ。 レイチェル・ワイズ演じる妻は、我々観る者の目から見ても、エリート外交官の妻には向かない人のように見えるんですね。 パーティの席でも果敢に外国の大臣を批判するし、不正の追求のためなら色仕掛けだって辞さないんですね。 そんな妻の行状を夫は見て見ぬ振り。 ひたすら趣味の庭いじりに没頭していたのだが、妻の死の原因を追ううちに、妻の行動の背後には自分への深い愛情が存在していたことに気付き始める。 「ナイロビの蜂」とは、陰謀と関係のある存在を意味しているが、あまり良いタイトルとは思えない。 これは、すでに発刊されていた原作の小説に合わせただけであり、原作の小説の邦題があるにもかかわらず、全く無関係な邦題を付ける映画が多い中、この配慮はありがたいと思う。 しかし、原題の「Constant Gardener(不屈の園芸家)」の方が、遥かに内容を的確に表していると思いますね。 主人公は、日課の草木の手入れと同じスタンスで、くじけることなく、じわじわと陰謀に迫っていくんですね。 彼が選択する結末は、一見、敗北主義的だが、実は用意周到に復讐という大樹の種を植えたともとれるんですね。 そして、自身を肥やしとすることで、この樹が大輪の花を咲かせることを願ったのだと思う。 まさに、「不屈の園芸家」の物語なのだ。