レビュー
星ゆたか

星ゆたか

4 years ago

4.5


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ファニーとアレクサンデル

映画 ・ 1982

平均 4.0

2021.11 神の沈黙のテーマのイングマル・ベルイマン監督の5時間の集大成的大作。 主人公の少年アレクサンデルは、キリストの降誕劇に、妹と一緒に子役として出演する。兄妹の一家は、父親が劇場経営し、母親と祖母が女優という演劇の家系。しかし父親が死んでしまい、それからアレクサンデルは父親の亡霊を見はじめるようになる。そこで10歳のアレクサンデルが、度々表れる父の亡霊に、 『何もできないで ただじっと見てるだけなら 早く天国へいってよ!』などと言う。 二年間にわたって展開する家族のお話。母親は、その後主教と再婚し、アレクサンデルは、そこでも、その主教の先妻との事故死した子の霊に、驚かされたりする。また祖母も亡くなった息子(アレクサンデルの父)の亡霊に、『子供たちのことが心配? お前は優しい良い子だったからね』などと、さほど驚きもせず“語りあう”。 またこの再婚相手の主教の言動などにも、それまでのベルイマン映画で描かれてきた“非”の牧師像が見られる。だから当然再婚した母親も、甘い期待から失望させらせてしまう。夫に『貴方が愛について話をするの』と言えば、『私は欠点もある平凡な人間だが、権威に奉仕する立場にあるから、それらしく振る舞うのだ。』と答える。 そして最後にこの主教も変死してしまう。すべて終わったかに思えたが、アレクサンデルの背後から、『逃がさないぞ!』と、その“主教の亡霊の声”がこずいてくるのである。これはそのまま、ベルイマンが終生〔神との闘い〕をテーマにしていたことを暗示している。  時には、じっくりと腰をすえて、上質な空間を眺める人生ドラマを、鑑賞する映画も、イイのでは!