レビュー
「パントマイムの神様」と呼ばれたマルセル・マルソーの半生を描く歴史ドラマ。 主演を務めたジェシー・アイゼンバーグ自身もユダヤ系アメリカ人で母親がプロの道化師だったというルーツをもつ。そんな彼が演じたマルセル・マルソーはパントマイム・アーティストとしては超有名らしく、逆に言えば、自身のレジスタンス活動を自ら語ることはなかったという(彼のWikipediaにも活動についてはほぼ書かれていない)。本作では、マルセルを含むレジスタンスがナチスに親を殺害されたユダヤ人孤児たちを安全なスイスへと逃がそうと奮闘する姿が描かれる。逃走劇としてのスリルもあり、ちょっとしたラブストーリーもあり、そして主人公が子供たちとの交流やレジスタンス活動を経て成長する人間ドラマもあり、映画として十分な出来映えだと思う。 ただ、個人的にもうちょっとパントマイム要素を取り入れてほしかった。確かに、序盤でマルセルが得意のパントマイムで孤児たちを喜ばせるという最高のシーンがあるのだが、ここが本作のピークで、それ以降はわりとよくあるレジスタンス映画に落ち着いてしまった印象。せっかくの「パントマイム」という他作と差別化ができる部分を上手く活かしきれていなかった感じは否めない。 それでも、このマルセル・マルソーの功績を世に知らしめたというだけでも価値のある一作だと思います。
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