レビュー
Till

Till

5 years ago

3.5


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来る

映画 ・ 2018

平均 3.2

澤村伊智のホラー小説『ぼぎわんが、来る』の映像化作品。 表上は、最近流行りの「何か」「それ」に襲われる系のホラー映画だが、実質は人間の「醜さ」や「汚さ」を描いた人間ドラマ。結局、その「何か」の正体も明かされず、曖昧なまま終わってしまうので、そこを本筋として観てしまうと肩透かしを食らう。「何か」という得体の知れない存在に「不気味さ」は感じつつも、「怖さ」は控えめなので、ホラーとしても少し物足りないように思える。 それでも、サスペンスフルな雰囲気にスリリングな展開、そして見応え十分のお祓いシーン(個人的には少しやり過ぎな気もしたが)もあり、エンターテイメント性は抜群に高い。展開も非常にスピーディで、秀樹、香奈、野崎、と順番に視点が変わっていく構成も巧い(ここは原作通りらしいが)。134分間全くダレることなく観ることができる。 ただ、やはりモヤモヤする点があるのも事実。まず、津田が何をしたかったのかが分からない。他の登場人物を散々振り回しておきながら、結局何か大きなことをするわけでもなく、あまりこの人物の必要性を感じなかった。それと、もう一つ気になるのは、幼馴染みの少女の名前について。秀樹が彼女の名前を思い出すシーンがあり、そこで判明するのだが、なぜこの名前だったのかがよく分からない。伏線のようにも思えたが、結局話にはあまり絡んでこなかったので、ここもモヤモヤする。 というように、若干消化不良の部分もあるのだが、全体的にはなかなか完成度の高い作品だったと思う。決して中身のないホラー映画ではなく、本作に登場するような醜くて汚い人間でいれば、いずれ「何か」の餌食になってしまうよ、というような強いメッセージ性を感じました。