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レビュー
Till
3 years ago
ザ・バニシングー消失ー
映画 · 1988
4.0
製作から30年以上経て日本公開された傑作サイコ・サスペンス。 レックスは恋人のサスキアとフランス旅行を楽しんでいたが、その途中でサスキアが謎の失踪を遂げてしまう。3年後、依然として彼女を探していたレックスの元に犯人らしき人物から頻繁に手紙が届くようになり…。 あのスタンリー・キューブリックが「今まで観た中で最も恐ろしい映画」と激賞した作品で、確かにラストシーンの絶望感はこの上ない。 この設定だと普通は「誰が彼女を誘拐したのか?」という点に重きを置くはずだが、本作にはそのような犯人捜し的な要素はなく(予告編の時点で犯人は分かる)、レックスの視点と犯人の視点が交互に入れ替わるという斬新な手法で展開される。「金の卵」の話やコインなど細かい伏線が張られており、意外と技巧派なのも特徴。 そして本作はサスペンスでありながら、「好奇心」をテーマとした映画でもある。レックスも犯人もただ「知りたいから」という理由でおのおの行動しているわけで、そこに愛や富や名声も何もない。レックスに新しい恋人がいたり、犯人に家族がいることがそれを示している。 禁じられているようなことも「これをしたらどうなるのだろう」と「好奇心」を抱いたことは誰でも一度はあるだろう。大抵の人はそれを思うだけにとどめるのだが、それを実際に行動に移してしまう人が「サイコパス」と呼ばれるのかもしれない。本作の犯人も理解の及ばない完全なるサイコパスなのだが、普通の人間との差はその「一線を越えるか越えないか」という微妙なものなのかもしれない。一般人とはかけ離れた存在であるはずのサイコパスが身近に感じられてしまう確かに恐ろしい作品でした。
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