レビュー
cocoa

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6 years ago

3.5


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ジェニーの記憶

映画 ・ 2018

平均 3.4

観た後にすぐにレビューを書けなかった作品です。 女性監督ジェニファー・フォックスが監督、脚本を手掛けた問題作。 自身の体験を忠実に描いたその姿勢は強く称えたいです。 主人公のジェニー(ローラ・ダーン)は現在48歳。 離れて暮らす母親からジェニーの子ども時代に書いた小説を問い正す電話が入る。 当時13歳のジェニーは馬術の女先生とコーチに「性的虐待」をされていたのでは!と母に詰問される。 そもそもジェニーは兄弟の多い家庭で育ち、親は手が回らない状況だった。 でも放任とか育児放棄ではなく、門限や決まりごともあり普通に感じます。 ジェニー自身が独立心が強く「私の人生」とか「自分のことは自分で決める」と意思が強かった。 でも、やっぱり13歳は子どもなんです! コーチのビルの言うままに服を脱ぎ、好きなようにさせてしまう…。 着ているのは子どものランジェリーだし、言葉巧みに操るビルの行為はおぞましい。 拒絶したら気まずいと思ったのか、自分を大事にしてくれる先生やコーチの期待を拒めない。 自分の意に反して身体が拒絶反応で悲鳴をあげているシーンが辛すぎます。 そして何と言っても一番恐ろしいのは、48歳になっているジェニーが「あの頃は愛し合っていた」「ただ相手がずっと年上だっただけ」と信じきっている…思い込んでいる現実です。 自分が被害者だとは思っていない。 ずっと歪んだ想いを抱え、「結婚はしない」「子どもはいらない」と生きてきたジェニー、悲しすぎますね。 大学で教えている学生に(何の授業か)…「初体験」を語らせる場面。 学生が「お互いに思い合っていて自然な行為だった」と幸せそうに話す傍らで驚愕した表情のジェニー。 「本当にそうなの?自分はおかしいの?」と気付いたのだろうか? 母親には「楽しんでたの?」と聞かれたり、パートナーに「それはレイプだ」と断定されたり、ジェニーの心は真実を求めて過去の関係者を訪ねます。 次々にわかる当時のこと、子どもだった自分がわかっていなかった現実が悲しい。 自分以外にも同じように餌食になった子どもがいて、女先生も段取りを手助けしていた現実。 ジェニーが今のビルに会って、当時の事を問い詰めるシーンは言葉一つ一つがリアルでした。 この辺にも監督の強い意思表示を感じました。 13歳のジェニーが拒絶をしなかったのだから同意じゃないか! そんな事を言いそうな大人がいたら大間違い。 何が何でもあり得ない犯罪行為で、記憶に蓋をして生きてきたジェニーの何十年の軋んだ生き方が物語っています。 監督が勇気を出して実名で作った意味が大きく、リアルすぎるシーン…(そこは成人の女性で撮ったそうですが…)、様々な場面が意味のある作品でした。