
shimabukurock
7 years ago
見ている最中

(500)日のサマー
平均 3.4
青春の恋煩いを描いた若者の映画、だと思っていたら実に「大人な」映画だった。 常に自分の心の中に起こる「人生への期待」に対して、現実はいつも、ただ屹立していて。 期待をするだけ損をするし、何なら深く傷ついてしまう。 ジョセフ・ゴードン=レヴィット演じるトムは、その自分が信じた映画やポップスや、そうやって育んできた人生の春、青春を爆発させてサマー=夏に恋をする。 自分を形作り、人生への期待の根源。そういうものは特に、絶対的他者である「恋愛」の対象によってズタズタにされる、というのもまさに人生そのもの。 「好きだから」とか「そばにいたい」から。軽く交わされる約束のひとつひとつ。 しかし時間の流れの中で守られたり破られたり。 それ以上に形も想いも変わってしまう。 しかし、人生に奇跡は起こらないと確信するには、大切な通過儀礼。 人間というのはあまりに過酷な現実の中でどちらが一方が正しいというわけではないと知る。 トムの側から見ればサマーは「この人しかいない」とも思うし、一方であまりにも不条理で残酷な女でもある。 しかしサマーの側から見れば、常に本気になりたくても本気になれない「運命じゃない人」に過ぎない。 だから、やるせないけれど。 そういうやるせなさを、ネガティブにではなく、確信と悟りで生き抜いていくことを選んでいくことが大人になるということだと思うし。 この映画の素晴らしいところは、そういう誰しもにある人生のイタイ記憶と、それによって当事者としては拭えない苦しみや痛みを、こんなにも優しく描いてくれること。 「そう、取るに足らない」と笑い飛ばしてくれること。 最初に書いたように、とても、大人の映画である。