レビュー
星ゆたか

星ゆたか

1 year ago

3.0


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私がやりました

映画 ・ 2023

平均 3.4

2024.11.4 映画プロデューサー殺人事件の“犯人の座”を廻って3人の女達が繰り広げる騒動をユーモアたっぷりに描いたクライム(犯罪)ミステリーです。 フランソワ·オゾン監督(67年生)映画としては本国フランスで[8人の女たち](02)などと並ぶ大ヒット作品。 ちなみに私の好きな他の作品はというと。 [まぼろし](00)[スイミングプール](03)[婚約者の友人](16)等です。 3人の女に扮するのが。 売れない女優でその犯人の容疑者役マドレーヌにナディア·テレスキェイッチ(96年生)。 (5ヶ月も家賃滞納の貧しい)ルームメイトで新進弁護士、彼女の裁判法廷にも立つ。 ポリーヌ役にレベッカ・マルデール(95年生)。 この2人、マドレーネの方が女性特有の肉感的対応で人にあたり。 ポリーヌの方はどちらかというと中性的(女性よりの)で。 しかし周りの人間の言動に対しての微妙な繊細な表情の変化を見せる芝居(どこかマドレーネへの想いも特別?同性愛?)。 そして中頃から登場し圧倒的存在感の往年の女優オーディット役にイザベル・ユペール(53年生)。この役をベテランらしい余裕の楽しみ方演技で見せます。 そして肝心な事は、物語の本筋の映画プロデューサーの、女優への性的嫌がらせからなる殺人という物語設定ですが。 後の裁判の焦点『社会的弱い立場の女性を、権力を持つ男性が、性的に虐げる現状に対しての訴え』としてる所。 これは、物語の時代が1930年代だから今日より、なおさら強いですし。 だからその点からも、本作制作意図は。 時を経た近年の、あの米国ハリウッド映画界のですよ。 ハーヴェイ·ワインスタインの長年の性暴力事件(≠MeToo)に発端があるのでしょう。 また殺人を犯して世間を騒がせた人物が、事件の話題性を利用して人気を得る(女優の仕事が増え豊かな暮らし)途中までの本作は。 どこかあの日本のマスコミ報道で有名になった。 兵庫県知事の2人の人命が消失したにも関わらず。 世間のバッシングで“知事が可哀想”と同情し、あの彼を支持する人達が現れ、再選する現状(SNS旋風を駆使した)を彷彿させる。 だから何も起こしてない人よりも。 事件を起こした者が得をする社会の矛盾と不公平さを。 『殺人犯の座を奪い合うという展開で笑いで転化し、社会を諷刺した』作品と云えようか。 また途中で『私がやりました』の犯人が別に存在し。 そこからまた“どうなる?”の物語の視点が変わるのだけれど。 この前半の“自供犯人”の裁判で 『女性権利の主張弁論』❲①男達の本能の前に世間は無視❳❲②だから腐敗したこの社会で、孤独で貧しく正直な女の大義で勝利を❳が世間に共鳴され、正当防衛性で殺人犯人が無罪になる展開は。 同じように、最後の映画の世界から舞台の現場に流暢に転化する場面作劇展開が象徴する“鮮やかさ”と同等の醍醐味で。 映画の中の劇場観客同様、この映画視聴の私たちも『ブラボー‼️』と喝采の声をあげたくなるのです。 また映画の魅力として、時代背景描写がとてもいいですよ。 例えば1936年公開のビリー·ワイルダー監督(渡米後).ダニエル·ダリュー主演の[ろくでなし]を劇場で2人が見る場面までの夜のパリ町光彩の雰囲気とか。 それと対比して日中の紅葉の街角との鮮やかな 撮影(マニュエル·ダコッセ)。 登場人物各々のあの時代のファッションもいいですね。 衣装のパスカール·シャバンヌさん。 そして美術装置のジャン·ラバッセの。その中のクラッシックカーも見ものです。 また脇役人物造形の芝居妙味が楽しい。 例えば殺人事件に関わる警部·予審判事·書記の3人のやりとりの間の抜けた滑稽さや。 その後の裁判法廷の相手方検事の発言とか。 更に更に事件の周り、外から3人の女達に絡む。 マドレーヌの婚約者(タイヤ会社の息子だが)勤労意欲に欠けた男なんて。 なんと彼女への愛は他の持参金付きの女と結婚し、愛人関係になろうなどと真面目な顔ていう漫画チックぶりです。 ただそういう男をぼやきながら彼女はなおも、自分が働いて養うというんですから。 もうどうぞお好きなように。 あるいは、その父親で最初は息子の結婚に反対(犯罪者とは当然)し、実は、自身の会社経営が芳しくないので。考えを柔軟に認めようとする、ちゃっかり人の会社社長もね。 予審判事の友人で土建屋で紳士的言動でこの逆転犯人劇のまとめ役になる人物など。 周りの人間像が各々面白いのも見所たくさんですよ。 ここで最期にフランソワ·オゾン監督の演出を。 ①登場人物の“過去の推理の再現”は白黒で無声映画風にし。 ②色鮮やかでレトロな調子と新しい感覚の現在進行も《映画·俳優》讃歌的魅力といった所かな。 そうそうエンディング描写もお楽しみ。 お見逃しなきよう!