レビュー
【女子ウケ0のバディ映画】 グロテスクな地球外生命体が体に寄生する女子ウケゼロな映像ながら、それをバディとして戦う独特の痛快感や映像美は特筆もの。 ◆概要 スパイダーマンの宿敵、1985年刊行マーベルコミック「ヴェノム」の映画化作品。出演は「ダンケルク」のトム・ハーディ、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のミシェル・ウィリアムズら。監督は「L.A. ギャング ストーリー」のルーベン・フライシャー。ソニー・ピクチャーズが手掛ける"Sony's Universe of Marvel Characters" の最初の作品。 ◆ストーリー 人体実験を行い、死者を出している財団への取材を進めるジャーナリストのエディ。彼は人体実験の被験者と接触後、地球外生命体「シンビオート」に寄生され、次第に体に変化が現れはじめる。 ◆感想 地球外生命体のぐっちゃぐちゃアクション。まずそのCG映像による質感のリアルさがスゴイ。柔らかさやしなやかさ、刃の硬さ色んな質感が、映像や音でどの映画よりも見事に表現されていると思う。こと、街中をバイクで疾走するシーンはマーベルの真骨頂。ぐっちゃぐちゃの手が伸び、バイクを操作するエディの盾や走行補助役となる様はスパイダーマン越えのワクワク感満載アクションでした。エンドロールでのVisual Effectsスタッフ数は自分史上最多。 ◆以下ネタバレ◆ そして特筆すべきはこの映画全体のバディ感。敵とも見方とも分からなかったヴェノムが次第にエディと心を通わせ、体を共有して戦うバディとなる様が爽快そのもの。この“体の融合”をキーとして、敵のカーネイジとも一瞬融合してしまうアイデアが面白い。逆にあのシーンは、3体目(途中でなぜか死んだ?)とも融合するなど、もっと話を広げても面白かったと思う。 「映画の最後にもお楽しみ映像」的なテキストが冒頭あったこともあり、ヴェノムも最終的には藻屑と化すのかと思いきや肩すかし。どうやら今回"Sony's Universe of Marvel Characters"という概念で、マーベルとしてはMCUとの統合は想定していないらしい(wikiより)。 蛇足だけど、「寄生獣」読者にとってはこの映画に既視感というか、むしろ寄生獣の映画化みたいな感覚で見れるのかも知れない。ヴェノムは1985年刊行で1988年スタートの寄生獣よりは早いのだけど。寄生した生物とコミュニケーションを取り、変幻自在に軟体化・剛体化し、無敵のバディとして戦う面白さは全く共通していたと思う。体が刃化したり、頭を一瞬で噛みちぎる酷似点は、着想が同じなので必然なのかも知れない。ただ個人的にはヴェノムがエディに寄生する必要性が、お互い“落ちこぼれ”であること以外にもっと描いて欲しかったところ。ちょっと弱かった気がする。
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