マンチェスター・バイ・ザ・シー
Manchester by the Sea
2016 · ドラマ · アメリカ
137分



アメリカ・ボストン郊外でアパートの便利屋として働く リー・チャンドラー(ケイシー・アフレック)。ある日、一本の電話で、故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーにいる兄のジョー(カイル・チャンドラー)が倒れたことを知る。リーは車を飛ばして病院に到着するが、ジョーは1時間前に息を引き取っていた。冷たくなった兄の遺体を抱き締めお別れをしたリーは、医師や友人ジョージと共に今後の相談をする。ジョーの16歳の息子で、リーの甥にあたるパトリック(ルーカス・ヘッジズ)にも父親の死を知らせるため、ホッケーの練習をしている彼を迎えに行く。見知った街並みを横目に車を走らせながら、リーの脳裏に仲間や家族と笑い合って過ごした日々や、美しい思い出の数々が浮かび上がる。リーは兄の遺言を聞くため、パトリックを連れて弁護士の元を訪れる。
🌙 抜け殻になっても、感情は消えない
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キャスト/スタッフ
レビュー
200+挿入曲情報

Manchester By the Sea (Chorale Version)

Let The Good Times Roll

Drivin' Wheel

Oh, What a Beautiful Morning

Messiah, HWV 56, Pt. I: No. 13, Pifa (Pastoral Symphony)

Plymouth Chorale
有村 昆
4.5
この映画のポイントは「俳優の半生を投影した絶妙なキャスティング」にあります。 実はケイシーはここ5年ほどホアキン・フェニックスを題材にした不謹慎なドキュメンタリーを製作したことで、ハリウッド中から干されてしまっていました。 でもこのままでは可哀想と立ち上がったのが、兄ベンの親友でもあるマット・デイモン。 彼が演じる予定だった本主役の座をケイシーに譲り、自分がプロデューサーに回り、失敗したどん底の男がどのようにして立ち上がっていくのかを演じさせました。 「ブラックスワン」のナタリー・ポートマンや、「レスラー」のミッキー・ロークのように、観客は俳優自身の半生と被り感情移入した結果、見事アカデミー獲得と返り咲いたのです。また元妻役のミッシェル・ウイリアムズも、自殺してしまったヒース・レジャーの奥さんということですから、こちらも感情移入してしまいした。 昨年ディカプリオが、あれだけ壮絶な極寒の地で死ぬ思いで体当たりの動の演技をしたのに対し、今回は一転、静の心理的描写が有力視されるはず。内情的な役作り。 配役が実にうまい。 彼のために作られた役と言ってもいい。
Izumi
4.5
主役あるいはそれに近い役どころとしてケイシー・アフレックを観るのは3作目だけど、どれもいつも陰があり、だからこそ誠実さが光り、みたいな感じ。あの独特なアンニュイな話し方にやられる。 いったいリーには過去に何があったのか…?回想シーンが随時挟み込まれ、また周囲の人々の何気ない会話などから徐々に明らかになっていく。登場人物の心のひだを丁寧になぞっていくような、必要なことは映像から読み取れと言わんばかりの秀逸な脚本。 今まで封をするようにしていたのに冷凍チキンを見て急に噴き出すパトリックの悲しみ、あれを言わなきゃ言わなきゃとずっと自分を責め続けていたランディの絞り出すような悲しみ、そんなシーンすべてが素晴らしい。 音楽の使い方もいい。途中、アルビノーニのアダージョ出てきて、あぁこのあと何かとんでもなく悲しいことが起こるのだな、と心の準備ができた。まさしくその通り。 期待されるようなハッピーエンドはない。リーの心の氷はまだ溶けないし、この先も溶けることがあるのかわからない。乗り越えられないことだってあるのだ。それでもやはり、愛する兄の遺したパトリックがいれば人生を続けていけるのでは、と思わせるしみじみとしたラストだった。
キケンタマゴ
5.0
現実は不完全だがこんなにも美しい。 罪を償うヒロイズム、アクション、胸に訴えかけるロマンスは「マンチェスター・バイ・ザ・シー」には無い。 周囲の人、甥との関わり、人生最大の再会の全てが「ぎこちなく」そしてダサイ。 ( 例えば、大事なシーンのはずなのに救急隊員が担架を救急車に乗せるのに失敗する等 )。 こんな感じでふつうは映画としての「見せ所」である盛り上がりや悲しみは、日常によって波打ち際の波の様に打ち砕かれ掻き消される。 ------------------- この映画は他にも音楽の使い方、ワイドショットとクローズアップの使い分け、海が表すリーの感情、フラッシュバックの見せ方など色々と語れる事が多そうだ。
Shou
4.0
とても静かにすべての人たちの悲しみや苦しみを、そっと包んで、救うわけでもなく、どん底に落とすわけでもない。時が経つごとにほんの少しの光、希望を見せてくれるような映画だった。 だから、とてもリアリティがあった。がんばれとか、生きてればいいことあるよとか、そんな安っぽい言葉で励まされるより、こういう映画を観る方が、わたしは生きてみようと思える。 そんな素敵な映画でした。
てっぺい
4.0
主人公が心に抱えるモノを、敢えてゆっくりと自然体で描く、いい意味で抑揚のない映画。 バンバン気持ちを揺さぶられる映画ではないけど、なんだかジワっと心に残るものがあると言うか。 主人公リーが心に抱えるモノを、直接的に描かず、時間軸も操作しながらゆっくりと描写していくのが、この映画の際立つオリジナリティ。 リーが最終的に出した結論も、変に“映画的”に抑揚を出さず自然体だったのも、気持ちがいい。 全体がアドリブで撮ってるんじゃないかと思うほど自然体なシーンが続くし、リーとパトリックのやり取りがなんだか親近感がわくと言うか、仲良し2人組の会話を聞いているようで心地いい。 シーンの繋ぎ方がとても独特で、僕含め、始めこの映画のペースに慣れるのに時間がかかる人も多いのでは。
meme
3.5
自分でも、どうしようもできない棘を心に抱えたまま生きている主人公リー。 兄が亡くなり、遺言で兄の息子パトリックの後見人にされてしまったが、物語が進むにつれ、兄がリーを勝手に後見人にした理由が私なりに解釈できた。 過去にガチガチに固められ、心に突き刺さった棘は抜けない、懺悔を繰り返し、時に抑えが効かず暴れていたリーは、心のみならず思考も常に過去にいる。しかしパトリックがいることで「これからを考える」ことをする。 パトリックの現在、そして未来は考えなくちゃいけない=自分もほんの少しずつ、過去じゃなくて現在を生きるようになる。 主人公リー役のケイシー・アフレック、非常に良かった。他人と関われず、むしろ攻撃をしてしまう時のが多く、自分でも自分をコントロールできない、心を閉ざしまくってる男が激ハマりだった。 そして、リーの元妻役でミシェル・ウィリアムズが出ていたが、彼女も好きな女優である。グレイテスト・ショーマンに引き続き観たけど、こうゆう作品の彼女のが好き。 派手にせず、登場人物たちの心情を前面に出さず、ドラマティックに描かなかったことがこの作品に深みを与えていて、私は単純に好みだった。
にしにし
4.5
個人的には今年の五指に入るだろう今作。新潮クレストあたりで出てる良質な短編のような趣です。画づくりはものすごーく地味だけど、そして、物語の起伏も乏しいけれど、観終わって数日経っても色褪せない。色褪せてくれない。 劇場で左隣の女性はボロ泣き。右隣の男性はピンとこなかった様子。万人が心打たれるわけじゃないのかもしれない。僕はといえば、入り込み過ぎて、終盤まで苦しかったです。帰り道、シラフなのにふらふらしてた。 誰もが過ちを犯す。それは時に取り返しがつかないし、さらに稀に、あまりにとてつもないことになってしまう。それでも人は生きていくしかない。心が壊れてしまった時は、深海みたいな孤独のなかで、ただ時間が過ぎるのを見つめているしかない。誰かの赦しが欲しいのかどうかさえ、壊れた心では分からない。解決しないことはあるし、無理に解決しなくていいのかもしれない。そんなことを、この映画は静かに語りかけてきます。その、人生を捉える真摯さ、誠実さと重さと。 時々泣きそうになりつつも、不意に訪れるあるシーンでは堪えられなかったです。どうにかなったらどうしようって思いながら観てた。 甥と過ごす日々に、主人公の中でゆっくりと何かが変わり始めたのかもしれない。不器用なバウンドキャッチボールは、始まりの予感なのかもしれない。予告篇にもある、ボートでの彼の薄い微笑みに、彼のその後の平穏を願わずにはいられませんでした。 K.アフレック。すごい役者さんです。
about movie
3.0
兄は自分が死んだらリーが自殺すると見抜いていて、後見人に選んだのだろうか。 全ての人との関わりを拒否するリーだったが、甥だけは、唯一繋がりが残っていた。その関係性も歪だが、人との繋がりがあれば少なからず生きる気力を得られるもの。 結果的にリーは後見人を放棄するが、甥との繋がりで少しだけ前向きになって街を去る。 そこまで見抜いていたなら、みんなに尊敬される兄はやっぱりすごい人だったのだろう。
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