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【はしごを外される映画】 実際の事件を背景にしている事で予想する展開を、溢れる映画愛と共にいい意味で裏切ってくれる。描かれる実際の映画関係者達やその世界観の再現のこだわりに、映画ファンはもう鑑賞マストの一本。 ◆概要 1969年の「シャロン・テート殺人事件」を背景に描かれる、クエンティン・タランティーノ第9作目長編監督作。(タランティーノは10作で監督を辞めると公約している。)出演は「タイタニック」のレオナルド・ディカプリオ、「オーシャンズ」シリーズのブラッド・ピットら。二人は初共演。 ◆ストーリー 人気のピークを過ぎた俳優リック・ダルトンと、付き人でスタントマンのクリス・ブース。家の隣に、人気の監督・女優の夫妻が引っ越してきた事で、リックはイタリア映画に出演し再起を図ることに。 ◆感想 はしごを外される映画。事前情報の先入観で、まだ来ないまだ来ない現象にハマってしまう笑。ただ同時に事前情報のあるなしで映画の楽しみ方が大幅に変わってくる典型例。映画全体に散りばめられた映画愛は微笑ましいし、監督のトリッキーな遊びも面白い。 ◆友情 一度もぶつかることのない二人の信頼関係と友情が終始心地いい。人目もはばからず落涙しクリフの胸を借りるリックと、すかさずサングラスを貸すクリフ、あのワンシーンで二人の絆の深さが分かる。そんな冒頭から、「お前は本当にいい友達だ」とクリフを見送るリックのラストまで、二人の距離感や友情の自然さは役どころとしてはもちろん、演技としても初共演とは到底思えないほど。 ◆映画愛 タイトルからすでに「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」をもじる明確な映画愛。真四角な画角のサイズにノイズの乗る音声、当時のハリウッド映画の雰囲気が存分に伝わってくる、まさに「かつてのハリウッド」を感じる画作り。ブルース・リー含め多数登場する、実在の映画関係者を数えるのも面白い(詳しくはhttps://screenonline.jp/_ct/17296254)。二人で「FBI」を鑑賞しながら、今から俺が出る!出る!とリックがまくしたてる辺りが、映画ファンとして一度だけでも経験してみたい事。映画に登場する役者と一緒に映画を見るなんて夢のような体験の描写だった。シャロン本人と分かるや態度が一変する映画館も含めて、終始映画愛が十分に感じられる映画だった。 ◆ 以下ネタバレ ◆ ◆メッセージ 感じたのは2つ。はしごを外された「シャロン・テート殺人事件」。事件起きないんかい!と心の中で強く突っ込んだけど笑、史実をテーマにした映画の中に架空の二人が入り込み、身代わりとなり、大事に至らなかったという解釈。人気女優がカルト集団に殺害される事件の存在を伝えるジャーナリズムとして、本作は十分成立していると思う。同時に、ハリウッドへ向き合う本作としての軸にもなれていたのでは。 もう1つは、一人の役者の栄枯盛衰。少女の前でも涙を見せてしまうリックに、落ち目の役者の迷いや葛藤が十分伝わってくる。逆に、少女から演技を称えられるのも微笑ましかったし、リックが「BOUNTY LAW」の主役と何度も気付かれる描写が、役者としての人気が落ちてもキャラクターの記憶は消えない、時代が変わっても、コンテンツの記憶が消えることはない、映画の揺るぎない力強さみたいなものを感じた。 ◆タランティーノを探せ ブルース・リーと格闘練習をするタランティーノ笑。何の意味があったのか分からないが笑、タランティーノ映画の明確なアイコンとして見逃さなくて良かった笑。 ◆ 総じて、まあ映画愛がハンパない。多分気付いてない映画愛ももっとたくさんあるのではと、今レビューを書きながら調べていると感じる。タランティーノ監督のこだわりが詰まりまくった一本というところだろうか。
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