
星ゆたか

토리와 로키타
평균 3.6
2024.8.2 ジャン=ピェール&リュック・ダルデンヌ兄弟監督による新作。 アフリカから地中海を渡りベルギーへやってきた。 小学生のトリ少年と高校生の娘.ロキタ。 実は難民渡航の途中で知り会った偽りの姉弟だ。 映画の冒頭は、ロキタがビザ申請の面接の審査官に、上手く応えられない様子が描かれる。 その後2人は応え方の練習をしたりする。 ロキタは緊張するとパニック症候群の発作(息苦しく倒れたり)を起しやすく。 常に薬を携帯している。 映画はこのいかにも年相応の“危なっかしい”少年少女の立ち振舞いと言動に。 常にハラハラさせられながら見守っていく事になる。 ただビザを取得しないと、正規就労が出来ない為に他の収入を得る手段は?と。 そんな弱者に付け込んだのが普通の顔した悪知恵の大人達。 食堂の料理人兼オーナーは、2人に麻薬の運び人の仕事をさせる。 金の受けとり、駄賃を与え、残り物を(どうせゴミで捨てるだけ)さも人良さそう(もってていいと)に。 シビアに調理の合間に。 しかもこの男は性的サービスもロキタに時々やらせる。 また街頭で待ち受ける、偽証ビザ.密航業者の中年黒人男女は。 甘い話を仕掛けてロキタから金を搾取している。 ここで同じ人種どうのこうのは関係ない。良い人もいれば悪い人もいるだけの事。 またロキタは国の母親から、三人の弟の学資金の送金を定期的に迫られてる。 ただ多分それが祖国を離れ、難民渡航する身内の役割になっているのだろう。 家族への思いが強いからだけの事でも成さそう。 そこで彼女はもっと稼げる危険な仕事につく。 秘密の薬草人工栽培の仕事。郊外の倉庫に3ヶ月ほど一人住み込み監理する仕事だ。 冷凍食品をレンジで温め、小さなTVもある。洗濯などの水まわりも設置されてる。 しかしその場所まで目隠しされ連れてこられた。 ロキタは日々の生き甲斐に。 トリと携帯で連絡し合いたいのだが。 警察の取締りの“足がつく”とこれは許さない。 週に数回必要な物や異常な事がないか訪れる人間がいる。 この映画の特色として。 ①BGM無しの演出。 ②演技未経験の主演俳優。 ③削ぎ落とされた作劇(必要な最低限描写) ④先の読めないサスペンス(アァッどうなる?) そんな中、姉弟でもないのに縁あって、そういう関係になった2人の。 頼るべき人、環境の無い中での心の寄せ合いで必死に生きるこの子供達の姿に、観客は共鳴できるのだが。 監督は『迫害され搾取され尊厳を踏みにじられる孤独な子供達の数多くいるこの社会に。どうか疑問を持ち怒って欲しい』と語る。 『私達の社会に蔓延する不正義に反旗を翻す気持ちになって欲しい 』とも。 しかし成る程、この映画に登場してくる大人達の。 自分たちの利益ばかり追求する。 《他者に無関心な社会》への憤りの感情は見ていて、実に腹立たしくなるのはどうだ‼️。 難民申請のビザ審査官すら。 『じゃあ、どうすればいいのですか?生きていけますか?』のロキタの問いに。 『さぁ、それは管轄外ですから』と心も寄せない。 これは、難民は一人二人の問題じゃないから、業務に忙しく、とてもいちいち親身になってやれないという事か。 映画の最悪の結末に。 トリは涙一つ見せず。 『ビザの申請さえ受けられたら、私達は普通の一緒の生活。ロキタが家政婦の仕事、僕は学校で勉強が出来たはず』と。 正面を向いて凛々しく挨拶する。