
Till

바람이 분다
평균 3.3
航空技術者・堀越二郎と作家の堀辰雄をモデルとした青年の半生を描くヒューマンドラマ。 これ以前のジブリ作品はファンタジー色の強いものばかりだったが、本作はかなり現実的なテイストに仕上がっているうえに、描くテーマも「零戦の設計」というニッチなもの。おそらく国民の大半は興味のないであろうこの題材に挑戦したその攻めの姿勢は評価できるのだが、結局はよくある大衆向けな闘病モノにシフトチェンジしてしまっていたのは残念。どうせなら零戦の製作過程をもうちょっと細かい所まで描いてほしかった。この映画のテーマの一つである「零戦が武器に使われてしまうことの哀しさ」っていうのは、その苦労や葛藤に塗れた製作過程の詳細を見せてこそ得られる情動だと思う。飛行機好きの純粋な青年が丹精を込めて、愛着をもってようやく完成させた“にも拘わらず”それを殺戮兵器として利用されてしまう。この落差を強調するためには、菜穂子との恋愛ではなく、一生懸命に零戦を作る二郎の姿をもっと描くべきだったんじゃないかな。 それと、これは皆さん指摘しているところだが、やはり主人公の吹き替えが酷すぎる。声を担当したのはアニメーション映画監督として知られる庵野秀明なのだが、宮崎駿によると「主人公と庵野の生き方が似ていた」という理由で彼の起用に至ったらしい。でも観客からすればそんなバックボーンなんぞは知ったこっちゃないし、「棒読み」「聞きづらい」「年齢と不相応」と集中力が削がれるレベルで下手なので、やっぱりこれはキャスティングミスと言わざるを得ない。後半の二郎と菜穂子の恋愛パートでは、二郎の「綺麗だよ」とか「愛してるよ」などの甘いセリフが増えてくるのだが、これも庵野秀明感丸出しの声で言われるのでちょっと気色悪い(失礼極まりないが)。正直これのせいで映画の魅力は半減していると思う。 また、この映画では「効果音を人の声で再現する」という試みがなされているのだが、これも自分には必要性を感じなかった。飛行機のプロペラ音や蒸気機関車の蒸気などの無機質で人工的な音をわざわざ生身の人間の声で表現する意味もよく分からないし、実際「人間の声感」が残ってしまっているので個人的には邪魔に思えた。 ジブリの作品には「何故か定期的に観たくなる」という不思議な魅力があるのが凄みだと思うのだが、残念ながら本作からはそのようなものも感じられず。自分にはあまりハマらなかったです。