
星ゆたか
2.5

우메 키라누 바카
영화 ・ 2021
평균 3.2
2022.8.29 題名はことわざから。 〔桜切る馬鹿 梅切らぬ馬鹿〕 梅は徒長枝という、成長期に元気のいい枝が出やすい。そのためそのままにしておくと、樹形を乱し花芽がつきにくいし、樹の養分がその余分な枝に取られるので剪定した方がいいとされる。一方桜は切り方を慎重にやらないと、そこから腐敗菌が侵入し枯れこむ場合があるので、切らずに自然に伸ばした方が花も多くつく。そのあたりからの花木の持つ特性を大切にするとの至言から生まれた。 和島香太郎(83年生まれ)監督の商業映画デビュー作品。 数年前、自閉症や知的障害のドキュメンタリー映画の編集に関わった経験が本作に反映されているという。 自閉症の49歳の息子・忠男とその母親・山田珠子の二人暮らしの物語。 梅の木は劇中描かれてないが、父親が植えた物。父親は障害者の息子を育てる責任が、重たく辛いので放棄して出ていってしまったらしい。 ただその話を息子の忠男は、この梅の木は“死んだ父親”が残したものでいつも見守っていると母親から聞かされ、それを彼は生きる心棒のように信じてきた。 だから隣の家に引っ越してきた家族の通路に邪魔になり、切ってあげたいのはやまやまなのだが。 いざ植木屋さんに剪定してもらうとなると、忠男さんが奇声を発し、パニックを起こしてしまうのだ。 この作品は78分の小編です。 それは障害者を巡っての地域社会の対応。何か問題が起きると障害者施設の撤退運動などがすぐ起きることへの問題提起で、具体的な解決展開まで至らないから。だから短い。 普通の人間が障害者という人間を、知らないことからくる不安・恐怖の垣根を取り払うために、まず認識・理解してもらうための《提示》の映画なのだ。 〔自閉症〕脳の機能の発達障害の一つ。対人関係への無関心(社会性の障害)。言語・コミュニケーション障害。同一動作の繰り返し(こだわり行動)などを示す。 忠男さんは毎朝6時45分に目覚まし⏰のアラームと同時に起きる。身支度、母親は息子のヒゲを剃ってあげる。時間を口ずさみながら毎日これら食事・排泄・入浴・睡眠の日常のルーティンを、日中近所の障害者勤労施設に通いつつ繰り返しこなしていく。時々母親は『私が死んだらどうなっちゃうだろう』とため息をつく。 演じる加賀まりこさんは、実際一緒に住まわれているパートナー(元TBSプロデューサー/演出家の清弘誠氏)の息子さんが自閉症で身近な事柄として受け止めている。劇中ある感動的な場面。 『忠さんがいてくれて母ちゃん幸せだよ。ありがとう』というセリフは加賀さんの率直な発言らしい。 またこの珠子さん日頃は、手相占いをしていてそれなりにお客さんもついている。料金は客のお任せだが、少ないとつかさず『これがあなたのお気持ち?』としたたか! しかし決して普段は低姿勢で高圧的ではない。燐家の幼い少年などにも実に優しく接する。 ただ世の中の不寛容に対しては、はっきりものをいうのだ。 物語は自分たちの都合のための不満をただ訴えていただけの燐家の特に父親が、変化を見せた展開に未来にいくぶん希望を持たせた。 これは彼の息子のせいで“障害者問題”を引きおこした責任によるものなのだが。忠男さんの人柄(障害者)にも少しずつ理解する方向に歩み始めたことは大きい。 人は皆めいめいに事情がある。 和島監督にはてんかんの持病があるそうだ。そして、てんかん患者と家族、医療従事者の話をオープンに発するネットラジオ『ぽつラジオ』(YouTubeとPodcast)を2017年から始めたとか。 それぞれの事情を理解した上で社会生活を営んでいける環境づくりは大切だ。 監督は言う。『差別に加担してしまう人に怒り、告発的な態度をとっても対立を煽るだけだ。だからむしろ障害者さんの“こだわり”、日常の喜びを共有したいと思う』と。