
星ゆたか

디어리스트
평균 3.6
2022.3 2009年夏、この映画の題材となった、中国での児童誘拐そして人身売買へと繋がる事件が起きた頃。日本では60年続いてきた政権与党の自民党が大敗し、民主党が与党第一党に躍り出た。映画界では暮れに“3D映画元年”として「アバター」が公開されて話題となった。まだそんな昔ではない。 物語では、その頃中国で多発していた誘拐事件の一つを、扱っている。離婚してまもない夫婦には、三才の男の子がいて、元妻が週に一度再婚先から送り迎えしていた。そんな矢先に事件は起きた。父親は近所の人達にも協力してもらい探すが見つからない。警察にも連絡するが、二十四時間経過しないと事件として扱わないと‥‥‥。後に駅の防犯カメラに、犯人に抱きかかえられた男の子の姿があった。その後懸命な両親の呼び掛けの映像で、行方を求めたが、有力な情報もなく。一年後、被害者から偽物の子供で、懸賞金だけ せしめようとする者が現れたりする。 そこで同じように子供を誘拐された者達からなる〔行方不明を捜す会〕と励ましながら捜索活動を続けた。 そして遂に三年目に、ある農家にいた手掛かりの“額の傷”の六歳の男の子供に巡り合う。そこで育てられ別の名前のその子を、今度は反対に奪い返す場面は、ある意味(庶民の家族との平安な日常を奪う者への抵抗)圧巻だ! 子供が産めない育ての母親は一年前に亡くなった夫に誘拐された子供とも知らされずに育ててきた。しかし子供への愛情だけは誰にも負けない。だから本当の両親の我が子を取り戻そうと、抱きかかえ走り去る後を必死に 追いかける。彼女の呼び掛けで、近所の村人達も総出で逃がさまいと、走る、追う、取り押さえ、殴る、蹴る、の大円だんの大騒ぎ。 そしてようやく、警察が介入し本当の誘拐事件が明らかになった。しかも妹として一緒に育てられた女の子供は同じく自分達の子供ではなく、捨て子だったという。だからこの子はその後、親のいない子供の養護施設に入れられる。しかしこの育ての母親の母性愛(生きるよすが)の強さといったら半端ない! 世間を賑わしている、虐待親や、育児放棄の親に見せてあげたい。 どこまでも諦めず、その後の下の女の子の養母権をめぐって弁護士をたてての動きもスゴイ! 誘拐でなく、捨て子なら裁判で養育権が得られるので、その証言を得るために、一度だけ証言者と体の関係を持った出来ごとで、この相手の子供を身ごもったらしい(子供が産めないと言われてたのに)、と知らされるラストで泣き崩れるこの女性も、社会の仕組みと環境が生んだ被害者だ。 また、三歳で誘拐され、六歳になって戻った男の子は、本当の両親に会っても中々馴染めない。育ててもらった母親の所に帰りたいという。 もう少し時間が必要だ。 当時中国では“一人っ子政策”で、行方不明の子供の死亡診断書を提出しないと、〔行方不明を捜す会〕のリーダー夫妻に、次の出産証明書を出せないと、役所員はその一点ばり、『子供は死んじゃいないんだ!』このリーダーの彼の叫びは切実。 しかもラストクレジットで、モデルになった人達と、演じた俳優達が一同に会するのだから、作り物以上の重みがあふれた。