
星ゆたか

마이 백 페이지
평균 2.8
2022.10.25 1969年から72年の日本を舞台にした、評論家・川本三郎氏の自伝的原作の映画化作品。 キネマ旬報紙の連載「映画を見ればわかること」を時折読むのが、楽しみな川本さんが東大卒業から、朝日新聞社にその頃勤務していたのを今回初めて知った。 ジャーナリストであろうとする主人公と、学生運動家の革命に闘志を持とうとした青年・梅山との、二人の人生の交差が描かれた。 川本氏は44年生まれ。ちょうど青春を69年の東大安田講堂事件に接していた世代。 原作の中で“ただ周りから見ているだけ”で、後ろめたい罪悪感すら感じていたと書かれている。 そこで新聞社に勤めた時は、その時代の風を伝えなくてはとの意識が高まって、71年の8月に学生運動家によって起こされた朝霧自衛官殺害事件に関わるように。 この事件は武器の調達が目的、結局一丁の拳銃の取得も出来ず、尊い一人の命が奪われただけのあまりにも素人殺害。 事件の影響の大きさだけが記録された。被害者の父親が『何で自衛隊の敷地内に居て、息子が殺されなければならないんだ』と怒ったというが、この一人の命の重さを、例えば革命・戦争主導者は是非噛み締めてほしい。 川本さんは、その“殺人事件”の前後取材に取り込むことに。 76年生まれの山下敦弘監督と同年齢の 向井康介さんの脚本コンビによる映画。 そして80年生まれの妻夫木聡さんと、 85年生まれの松山ケンイチさん共演に よる再現作品。 あの時代を知らない世代が、これはあくまでも個の内面の軌跡に比重を寄せた映画だと。 力及ばずして倒れることを許せる、大いなる挫折の詩として、実際にその時代を生きていない、今の若者にも響くのではないか。知らない世代の作るあの昭和でいいのではないかと製作信条を語った。 ちなみに劇中の、海辺の食堂の入り口の看板表に。 カレーライス120円、ラーメン100円、ビール80円、コーラ40円、アイスキャンディ20円、かき氷🍧50円とある。 また時代を物語る音楽が印象的。 邦楽で言えば、ダブルミリオン17週連続1位の大ヒット「恋の季節」(ピンキーとキラーズ) 夏の海辺に似合う「真夏の出来事」(平山三紀)。 洋楽ならC・C・R (クリーデンス・クリア・ウォーター・リバイバル)の 「雨を見たかい」。 この歌今回調べた所によるとベトナム戦争のナパーム弾(無差別大量殺戮兵器)を連想させる詩だということで、アメリカでは放送禁止になったとか。でもこの点については、ボーカルのジョン・フォガティが、後日はっきり否定している。 だが私もこの歌好きで、そんな事知らずよく口ずさんでいたものだ。 ♪ Have You Ever Seen The Rain ?♪ 口ずさむと言えば、劇中主人公達が見る映画の主題歌。 「ファイブ★イージー★ピーセス」(70) アメリカン・ニュー・シネマの傑作 (ボブ・ラーフェルソン監督) ジャック・ニコルスンとカレン・ブラックの好演が忘れられない映画。 ♪Stand by Your Man♪(タミー・ウィネット)なども好きでしたね。 映画でも描かれましたが。 実際川本さんは、この自衛官殺害事件をスクープにしたくて、関わり過ぎて事件の際の証拠品、血のついた腕章と隊員ズボンを譲り受け、後に焼却し、これが証拠隠滅罪に捕られ懲役10か月の実刑を受け、朝日新聞社も懲戒解雇されてるんです。 また何故に梅山は、この証拠品をマスコミの人間に渡したか、という点については“プロパガンダ”(問題の核心を他に洩らす考え方)だと話している。 この事件の学生運動家松山さん演じる人物の梅山(片桐優)。 実際は菊井良治という名の青年。 宮沢賢治について語り、ギターを弾き語り一緒に「雨を見たかい」を歌い、ジャーナリストの人と初めて話が出来たと言って、その言葉に川本さんは共感し、その運動に深入り取材することになる。 人の懐に入りこむのに長けている所がある人間だ。 しかし多くの革命家の闘いに共通して感じる所だが。 自身の歴史観の中にある大衆的恨みを、今の革命の真意の盾にして果たそうとする時。 目の前の一人の生命の尊さを忘れ、 無視して達成させようとする傾向がある。戦争の主導者もそうだ。 日本の東西における学生運動がやや衰退傾向にあった時に、精力的に活動していた京大の学生思想家の扇動などにより、自衛官殺害事件も起きた。 72年にその実行犯の逮捕・裁判では、罪の擦り合いで見苦しいものだったという。結局梅山は懲役15年の実刑、扇動家は逃亡生活十数年だったとか。 せっかくの大層な出発の運動の意義はどこかに消え失せた。 残るは保身の意識だけとは情けない。