코멘트
ある狭いコミューンで権威を振りかざす、自称「アレクサンダー大王」のあまりにも滑稽な暴君ぶりを通して、共産主義や独裁制が台頭した20世紀の世界史を寓話的に総括するという、ものすごい映画的試み。しかも、それを一切の説明もなく、象徴的な映像で表現するのだから、テオ・アンゲロプロスはとんでもないシネアストだ。主役のオメロ・アントヌッティは、『父 バードレ・パドローネ』や『エル・スール』で見せたような、名優らしい演技は一切させてもらえず、常に重たい鎧を身に着け、終始その滑稽な動きを遠くから撮影されるだけ。ご本人は相当なストレスだったそうだが、その忍耐のおかげで、映画史上稀にみる異様な象徴的キャラクターが誕生した。この、どう見ても紀元前のマケドニアの英雄ではない、現代のニセモノの「アレクサンダー大王」の一挙手一投足に目が離せず、360度パンニングやワンショット・ワンシークエンスなどを用いたアンゲロプロス独自の映像マジックにかかると、3時間半の長尺もまったく飽きることがなかった。              ◆ この作品のリアルな怖さは、暴君による圧政やその功罪がテーマではなく、為政者に一時のカリスマ性を見出し、熱狂的に支持したかと思いきや、その熱から醒めるや否やポイ捨てするという、実にご都合主義的な民衆の集団心理こそが、ひいては世界史の悲劇を生むという、実に鋭い視点にある。それさえも、わかりやすい演技や説明ではなく、暗喩的な映像で淡々と見せるのだ。単にアンゲロプロスを「映像の魔術師」云々と感嘆してばかりいられない、有権者としての自分自身に直接突き付けられる、末恐ろしいテーマを持った映画だ。
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