
dreamer

글로리아
평균 3.4
女ハードボイルドの決定版「グロリア」は、タフで泣かせるラブストーリーの傑作だ。 監督は、"アメリカン・インディーズの父"と呼ばれ、性格俳優としても知られる映画作家のジョン・カサヴェテス。 ハリウッドのシステムを嫌い、独自のゲリラ的な手法での映画作りの姿勢を貫いてきたカサヴェテス監督は、従来の映画には見られなかった即興的なカメラワークと演技指導で映画に革命を起こした人だ。 元ヤクザの情婦グロリア(ジーナ・ローランズ)とスペイン人の少年フィル(ジョン・アダムス)の関係は、母子愛的なものだが、二人が心を通わせていく様子は、大人の恋愛以上に絆の強さを感じさせる。 グロリアは元々、子供とは縁のない世界で生きてきた女だ。 それが、同じアパートに住むギャング組織の会計士一家が惨殺された現場に居合わせたお陰で、その家族の少年を預かる羽目になる。 少年の母親の必死の頼みに、グロリアは最初こう言って断る。「子どもは嫌いなのよ。特にあんたの子はね。」実に、ハッキリした物言いの女だ。 孤独を引き受けてタフに生きる女は、優しさの安売りなど決してしない。 だが逆に、孤独を知っているからこそ、本当の優しさを心に隠し持っているのだ。 少年の生死を分ける切羽詰まった状況で、グロリアは少年を見捨てられず、彼をかくまってやることになる。 追って来る組織のチンピラどもに立ち向かうグロリアの凄み、これが非常にシビレるほどカッコイイ。 「撃ってごらんよ、このパンク!」、ピストルを構えるその足元はハイヒール。スーツはエマニュエル・ウンガロ。 疲れた顔の中年女が、かつてこれほどクールだった事はなかったと思う。 全く、ジーナ・ローランズにはシビレてしまう------。 安ホテルを泊まり歩く逃避行の中、グロリアと少年の信頼の度は、しだいに深まっていくのだが、グロリアの態度がこれまたクールなのだ。少年に対して、可哀想な子供扱いは一切なし。 夜、寝る前に、自分のスーツをバスルームに下げてシワを取るようにと少年に言いつけたりする。 一方、少年の方は母親に言いつけられて、それをやるという感じではなく、何か同志のサポートをしているふうに見えてしまう。 一度、グロリアが少年に朝食を作ってやろうとする場面は、私がこの映画の中で最も好きなシーンだ。 フライパンで卵を焼いてはみたが、コゲついてしまい、グチャグチャになってしまう。すると、いきなりフライパンごとゴミ箱に投げ捨てるグロリア。結局、朝食はミルクのみ------。 コワモテの女の優しさが乱暴な形で出るところが、いかにもグロリアらしくて、実にグッとくるのだ。 この作品は、ハードボイルドの衣をまとった「家族の物語」だと言えると思う。 グロリアと少年フィルの関係を通じてカサヴェテス監督が描こうとしたのは、人種や血縁の壁を超えた、新しい人間関係の可能性と、その温もりだと思う。 彼らの背後には、大都市の"残酷と孤独"が、身も心も引き裂かんと牙をむいて待ち構えている。 そして、その厳しさを描き切ったからこそ、"幻想的なラスト"が、私の心に深い余韻を残すのだ。 尚、この作品は、1980年度の第37回ヴェネチア映画祭で、作品賞にあたる金獅子賞を受賞しています。