ジョジョ・ラビット
Jojo Rabbit
2019 · コメディ/ドラマ/戦争 · ニュージーランド, チェコ, アメリカ
108分
(C)2019 Twentieth Century Fox



第二次世界大戦下のドイツ。心優しい10歳の少年ジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス)は、青少年集団ヒトラーユーゲントで立派な兵士になるため、日々奮闘していた。そんなジョジョを助ける友だちが、空想上のアドルフ・ヒトラーこと“アドルフ”(タイカ・ワイティティ)だった。しかし、訓練でウサギを殺すことができなかったジョジョは、教官のクレツェンドルフ大尉(サム・ロックウェル)から“ジョジョ・ラビット”という不名誉なあだ名をつけられ、仲間たちからもからかわれる羽目に。そんなある日、ジョジョは母ロージー(スカーレット・ヨハンソン)と2人で暮らす家の片隅に、小さな部屋が隠されていることに気づく。そこでこっそり匿われていたのは、ユダヤ人の少女だった。ジョジョの頼りになるのは、ちょっぴり皮肉屋で口うるさいアドルフだけ。臆病なジョジョの生活は一体どうなるのか……!?
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コウキマン
4.0
2020.9.20.161 2023.12.28.103 敗戦濃厚なドイツで、ヒトラーに憧れる少年ジョジョの成長をコメディタッチに描く。勇敢な兵士になるべく訓練に参加するジョジョは「ウサギを殺せ」との命令を受けるが遂行できず“臆病者”の烙印を押される。しかしジョジョの脳内にいる、ヒトラーを模したお友達“アドルフ”が励ましてくれるので、立派にナチ党員として仕事(ビラ配りなど)をこなしていく。ある日、母が屋根裏にユダヤ人少女を匿っていることを知るジョジョ。母の反戦的な考えや、ユダヤ人少女と接していくうちにジョジョの中でナチス至上の考えが揺らいでいく。ウサギ、くつひも、アドルフ、ダンス、最後にそのあたりの伏線を回収したときは、ジョジョ成長したな~とウルっとくる。ゲシュタポが来たときとラストの、キャプテンKの男気が良かった! ラストシーンが超クール ナチスドイツを題材にした映画は数多あるし、結構観てきただけに、コメディとして描いてあることが新鮮だった。“ライフイズビューティフル”を観たくなる
てっぺい
4.0
【コメディ戦争映画】 本来目を覆うような残酷な戦渦の描写が、10歳の主人公の目線とコメディタッチのフィルターで驚くほど柔らかに。名優達のあたたかい演技がそのギャップをより助長する。 ◆概要 第44回トロント国際映画祭最高賞受賞、第92回アカデミー賞作品賞・助演女優賞等6部門ノミネート作品。監督は「マイティ・ソー バトルロイヤル」のタイカ・ワイティティ。出演はローマン・グリフィン・デイビス、「マリッジ・ストーリー」のスカーレット・ヨハンソン、「スリー・ビルボード」のサム・ロックウェルらの他、監督のワイティティ自身も。音楽は『カールじいさんの空飛ぶ家』でオスカーに輝いたマイケル・ジアッチーノ。 ◆ストーリー 第2次世界大戦下のドイツに暮らす10歳のジョジョは、ナチスの青少年集団で、立派な兵士になるために奮闘する毎日を送っていた。ある日ジョジョは、家の片隅に母親がこっそりと匿っていたユダヤ人の少女を見つけ…。 ◆感想 軸はひとりの少年の成長物語。そこに描かれる戦争の残酷さや悲惨さが、少年目線である事により生まれるギャップ。コメディ要素も相まって、こんなにも柔らかく映るのかと驚いた。 ◆ギャップ 戦時中の残酷さが至る所に。奇形にクローン人間、街中で処刑される人達、傷ついた帰還兵、銃殺、文字にするのも恐ろしいのに、ジョジョの目線で映し出されるその映像が柔らかくてどこか穏やか。どこまででも残酷に描けるはずのユダヤ人の迫害すら、本作では人にシッポや角が生えた可愛らしいイラストにアウトプットされてしまう笑。 ◆ ◆以下ネタバレ ◆ ◆映像表現 母の死をきっかけに大きく場面転換。初めて人に刃を立て、そして戦火を味わうジョジョ。10歳にはトラウマに十分なりうる出来事が、吊るされた母は足元だけ、銃弾に倒れた人は俯瞰のスローで映し出され、まるでそれが事実であって事実でないような、10歳の感受性そのままに描写されている“ジョジョフィルター”がかかった映像表現なのも本作らしい特徴だった。 ◆成長物語 そんな激動を抜けて成長するジョジョが迎えるラストで、伏線を一気に回収。自分のも、吊るされた母の靴紐すら結べなかったのに、エルサの靴を流暢に結ぶジョジョ。敬愛の象徴であり、心の葛藤の象徴でもあった空想のヒトラーを蹴っ飛ばすジョジョ。自由を手に入れたら踊りたいと話していたエルサと踊るジョジョ。空の手紙を読む決断をするシーンもとても良かったし、ビンタを張られても当然だねと流すのはもう立派な大人だった。 ◆ジョジョ・ラビット エルサを解放すると決心するに至る、カゴの中のウサギのイラスト。ナチスには首をひねって容易に殺せるウサギは、つまりナチスに引き渡せば確実に殺されてしまうエルサの象徴であり、カゴの中でジョジョなりに守ってきたとても大切なもの。今作のタイトルは、激動の世で大切なウサギを守りきったジョジョの確かな成長物語だったと解釈する。 ◆泣ける そんなジョジョの成長を支えるいくつものシーン。戦死した父(と推測できる)の代わりに灰を塗って父を装うロージー。娘も亡くし、不幸のどん底にいるだろうに、ジョジョの前では明るく振る舞う母の気丈さと、息子への優しさが溢れるシーンだった。街が戦火に覆われた中、迫害を装ってジョジョを解放させる大尉。その後銃殺される(銃声だけの表現はやはり本作らしい“ジョジョフィルター”だったと思う)リスクを犯してもジョジョを守る、そして引いてはエルサを守る、まるで父親がわりのようなあたたかさを感じるシーンだった。そんな戦時のド過酷な中を、ジョジョを守り包む目線で描くこの映画のあたたかさも、前述のギャップの幅につながっていたと思う。 ◆ ヨーキーが死んでなくて良かった笑。それでも背中はボロボロで傷もあったように、柔らかく描きつつも、映像の節々に映し出される戦時の過酷さ。終始この10歳の目線で描く戦争と実生活のアンバランスさ、そこが絶妙だった。 ◆トリビア 空想上の友達アドルフ・ヒトラーは、原作の小説には登場しない(https://www.newsweekjapan.jp/stories/culture/2020/01/post-92165.php)。
隣の唐十郎
4.5
ナチス政権下のベルリンを舞台にした、革新的なハートフルコメディ! この飛び抜けた明るさが斬新! 20世紀の人類史に深刻な影を落とす時代を描く時はつい襟元を正してしまうもの。 歴史の重みの前にチャラチャラしたコメディの入り込む余地は無かった。…今までは。 この時代をテーマにして[少年の成長物語]とは生温いのでは?とアレルギー反応を起こす人もいる。 でも、映画を観る人は歴史家では無い。 戦争映画が[重い][暗い]という理由だけで嫌厭される事があるのも事実。 何よりもストーリーが[届く]ことが大事。 背筋を伸ばして黙祷を捧げなくても、優しく切ない物語は瑞々しい心に[爪痕]を残してくれる。それは人生の宝物になるだろう。
なでかた
5.0
戦争映画として、ヒューマンコメディ映画として、ジュブナイル映画として、最高レベルの仕上がりだった。主人公の少年ジョジョ10才が、第二次世界大戦のドイツで起きているヒトラー支配下、ユダヤ迫害という背景で、どんなことが正しいか、どんなことが間違っているかを考え、どんなものを受け取って成長していく様が実に見所でありテーマだ。応援したくなるほどキュートなジョジョ、その友人の丸いヨーキーなど個人的に推したくなるキャラクターが満載でどれも優しくて好きだ。物語の展開でユダヤ人エルサはどこか亡くなった大好きな姉インゲを彷彿させ、ナチスとユダヤという関係性を少しずつ緩和させ、少しずつ歩み寄りながら、少しずつ好きになり、ジョジョのお腹の蝶々が大きくなる過程が面白いんだ。ジョジョのお腹の蝶々というのは母親ロージーが愛について語るシーンがあり、ジョジョは「世界で一番強いのはミサイルだ。次がダイナマイトで、3番が筋肉だ。」と言い張るところが戦時下でヒトラーによる影響と思えた。それでも母親ロージーは「ダンスは心の解放、自由な人は踊るのよ。」と言い10才らしく、友達と遊んで、恋をして、愛を知っていて欲しいという思いが常に見えていて好きだ。 おそらくこの物語のKeyはジョジョの空想上の友人アドルフだ。まんまヒトラーな訳だが、ナチスの精神を徹底的に、時にはポジティブに、時には残虐的に、良い意味でジョジョを支え、悪い意味でジョジョを洗脳するキャラクターで、監督自身が演じただけあって物語のターニングポイントにおいて良い立ち位置だ。彼の存在のおかげでシリアスなシーンもポップに見えます。ジョジョの母親ロージーはレジスタンスであり、ドイツ軍解放せよという紙を証拠隠滅のために燃やすシーンが印象的だ。そこに空想上の友人アドルフは「なにを燃やしている」と繰り返し叫ぶが、監督のユニークな才能が光った瞬間だと考えた。シリアスな場面なのに笑えるという矛盾した実に奇妙な感覚だ。 【戦争をしてはいけない】という概念は一般常識レベルで広がっているが、実のところ戦争経験者はもうこの世にいなくなる時代へと突入した。だから【戦争をしてはいけない】という理由付けは憲法以外で説得力が失くなる可能性があり、映像や映画やドラマやドキュメンタリーとして残しインパクトや説得力が必要だ。その上で、本作「ジョジョ・ラビット」は【戦争をしてはいけない】という印象を色濃く映してくれた。ラストに向けた展開を観た方々ならわかるであろう、子供目線で戦争の恐ろしさを表現できている。これはオールタイムベストやマイベストなんてものじゃなく、教科書や、教育や、子供への成長過程に必要不可欠な作品だと考える。憲法9条、平和主義という言葉より説得力が十分かと思えた。 「ジョーカー」や「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」や「アイリッシュマン」や「マリッジ・ストーリー」とは違ったアカデミー賞作品だ。観たあとに流した涙を劇場に置いて前向きな一歩を踏み出せ、正しいこと、できることから始めたくなるはずだ。 映画館で見れなければ、いつか生きている間、戦争が再び始まる前にみてほしい。生き方だけでなく、人生を振り返り、自分の新しいターニングポイントを生んでくれる作品だと私は考えている。
wishgiver
4.5
スクリーンからのエネルギーがとにかくすごい! タイカ・ワイティティ監督の愛を全身で感じました! ♢♢♢ 着想もステキだけど、独特のカットワークが素晴らしい。 そして、難航するオーディションを一発で終わらせたというジョジョ役ローマン・グリフィン・デイビスが最高でした。 一歩間違えれば、作品の伝えたいことが伝わらなくなる、とても難しい役どころを完璧に演じてました。 ♢♢♢ 「すべてを経験せよ 美も恐怖も 生き続けよ 絶望が最後ではない」 ♢♢♢ リルケの詩とスカーレット・ヨハンソンと優しい色遣いが印象的でした。 (2020.2.5@AC東員)
きなこ猫
4.5
いきなりオープニング曲が、ビートルズの「抱きしめたい」かよ!このタイトルロールには脳天を打ち砕かれるほどの衝撃を受けた。ドイツ国内で熱狂的な支持を集めていたヒトラー総統もまた、国民的アイドルだったということだろうか?
HaL
5.0
素晴らしい作品でした。 あからさまな「視聴者を泣かせてやる」という演出はあまりないために、視聴中に号泣はしなかったのに、帰り道で内容を思い返すとじわじわ涙がでてきて止まらない。。 ヒロインとお母さんがとにかく聡明で、かっこいい。 「カッコイイ女」というフレーズがぴったりのお母さんがもう、本当に。。 広場での「できることを」というセリフが胸に残りました。この賢母についてはいろいろとありすぎて、映画を思い返すとじわじわと涙が。 ヒロインのエルサもまた聡明な娘で、某シーンでの機転の良さと&腹の据わった大胆さがとても素晴らしい。 おそらくあのシーン、エルサのとった行動が唯一の正解であり、他の選択ではアウトだったのだと思う。 あと、大尉ことキャプテン・Kも素敵でした!! あまりにサラリと発言していたからスルーしてたけど、この人序盤の時点で戦況も、国の方針も正確に把握しているんですね。 「姉さん」関係の場面や、最後に振る舞いといい、この人も賢者枠でした。かっこよすぎる。 ラストはとてもオシャレなステキエンド。 戦争の爪痕は残るものの、エルサが居るからたぶんジョジョは大丈夫な気がします。この二人はいつかモロッコへ行くんだろうなあ。
眠る山猫屋
5.0
凄い。圧倒的に揺さぶられた。コメディから次第に変遷していく流れに揉まれて引き込まれて・・・。 イマジナリーフレンドのアドルフがジョジョの成長に対比されるのも予想外だったし、母ロージーの靴にあんな伏線があったのにも衝撃だった。 エンディングも、これ以外には考えられないくらいはまっていた。好きとしか言い様がない作品。凄い。 プレゼントしてくれたウオッチャさん、本当にありがとう。 あと、キャプテンKもありがとう。
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