どう見てもマルチェロ(J・L・トランティニャン)は若くて健康な青年だったが、十三歳のとき体験した事件が深く心につきささり、今もってぬぐいさることができない。あれは学校の帰り道のときだった。友だちにいじめられているところを軍服姿のリノ(P・クレマンチー)が助けてくれ、家に連れていかれた。リノはかつて牧師であり、その自分が少年に慾望を抱いたことで傷つき、マルチェロに拳銃を渡し、撃つように頼んだ。マルチェロは引金をひいてその場から逃げた。大人になったマルチェロは、殺人狂かもしれない自分の血筋から逃れるために、熱狂的なファシストになっていった。大学で哲学の講師をしている彼は、大佐から近く内務省に出頭するよう命じられた。
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